セミナーイベント「Web担当者Forumミーティング 2012 Spring」(2012年4月19日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。
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快適なWeb上の体験は、パフォーマンスに大きく影響される。ページの表示速度が遅いと購買行動を妨げることにもなるため、ビジネスへのインパクトは見逃せない。本セッションでは、快適なWeb体験を支える世界最大規模のプラットフォームを展開するアカマイの渡邊氏が登壇。成果を上げるWeb体験をどのように提供しているのか、同社のノウハウを導入事例と合わせて公開した。
エンドユーザーは、オリジンサイトへ快適にたどりついているだろうか
世界最大規模のオンデマンド分散型プラットフォーム「Akamai Intelligent Platform」を手がけるアカマイ・テクノロジーズ合同会社(以下、アカマイ)。同社ソリューション・エンジニアの渡邉圭太氏は、まずアカマイのサービス内容について解説した。アカマイのオンデマンド分散型プラットフォームは、世界中のデータセンターのWebサーバに「アカマイサーバ」を分散配置し構築されているソリューションだ。
このソリューションにより提供されるサービスの1つ目が「Webサイトの高速化」だ。アカマイサーバを用いたアクセス経路の最適化やキャッシュ技術などにより、アプリやWebサイトへのアクセスを高速化する。
2つ目は「リッチメディア配信」であり、コンテンツプロバイダなど、コンテンツ課金ビジネスを行う企業のコンテンツ配信を代行する。
そして、3つ目がインターネット上の脅威から顧客を守る「Webセキュリティ」だ。
Webサイトが格納されたデータセンター(Webサーバ)とWebを閲覧するエンドユーザーを結ぶインターネットは、利用する側からするとシンプルに見えるものだ。しかし、実際には数億規模のユーザーがスマートフォン、タブレットなど多様なデバイスでインターネットに接続しており、複雑かつ様々な脅威にさらされている。Webサイトのグローバル化にともない、世界中からアクセスが集まるようにもなっている。
このように複雑なインターネットを陰で支えているのが、アカマイのソリューションであると渡邉氏は話す。世界中のデータセンター内のアカマイサーバが、オリジナルのWebサーバに代わりコンテンツ配信を代行したり、通信経路を最適化したりすることで、エンドユーザーに最適なルートでオリジンサイト(クライアント企業のWebサイト)の情報が届けられる仕組みだ。
エンドユーザーのインターネットアクセスを最適化する仕組み
渡邉氏は、アカマイのソリューションの技術的なポイントについて以下の3点を挙げた。
- Dynamic Mapping
インターネットに分散配置された、全世界の約10万台のアカマイサーバと、エンドユーザーを動的(dynamic)に関連付ける(mapping)技術
- お客様(企業ユーザー)オリジンサイトへの経路最適化
エンドユーザーとオリジンサイトの最適の経路を設定する。通常アクセスする経路だけでなく、コンテンツを早く流す最適な経路を設定可能
- Persistent Connections
オリジンサイトへの負荷低減。たとえば、一時的に負荷が増大するキャンペーン実施時にも、サーバへ負荷をかけずに運営可能
そして、渡邉氏は「Akamai Intelligent Platform」の特徴について、10万台以上のサーバ、1,100以上のネットワーク、750都市以上で利用されるといった「スケーラビリティ」、世界中のインターネットトラフィックの15~30%がアカマイのプラットフォーム経由といった具体的な数字を引用し、世界最大規模のクラウドプラットフォームであることを伝えた。
モバイル経由でのアクセス増と品質要求の高まり
続いて、渡邉氏は同社のソリューションがフォーカスする事業領域のうち、「モバイル」と「セキュリティ」について解説した。渡邉氏によると、現在、アカマイサーバを経由しているエンドユーザーの10%~20%がモバイル端末を利用しているという。こうしたユーザーに、PCと同じぐらいのアクセシビリティを提供するため、同社はモバイル端末でのブラウジングに最適化できるようチューニングを施している。
こうした機能追加などにより、ある大手自動車メーカーでは、ユーザーがモバイル端末で企業サイト(Webサーバ)に直接アクセスしたときと、アカマイサーバ経由でアクセスした場合とでは、アカマイ経由の方が25%ほどパフォーマンスを向上できたという。渡邉氏は、モバイルサイトのパフォーマンス向上例について、こうした実際の事例を示しながら紹介した。
次に、渡邉氏は「セキュリティ」について解説した。アカマイは、ネットワーク上に分散した10万台のサーバ上にセキュリティ機能を実装している。これにより、オリジンサイトへのアクセス集中による負荷を軽減できるだけでなく、セキュリティを向上させるために「アクセスはすべてアカマイサーバを通してのみ行い、オリジンサイトへのアクセスをさせない」という設定も可能だという。アクセスが大量に集中したとしても、アカマイサーバのみで受けることで、クライアント企業のオリジンサイトは守ることができるという考え方だ。
ニッセン、ユニクロなどでも使われるアカマイテクノロジー
続いて渡邉氏は、アカマイのソリューションの実際に利用例をいくつかの事例とともに示した。
- Eコマース
レスポンスタイムの向上による売上増
WEB セキュリティ対策
再訪頻度の向上や購買行動の促進に寄与 - 業務アプリケーション
WEB/IPベースのアプリケーションをグローバルに高速化
サプライチェーンの最適化、集約されたデータセンターからのアプリケーションをグローバルに高速配信 - 動画配信・エンターテインメント
映像コンテンツの配信部分を代行
大量のサーバ、回線、ライセンスを購入する必要がない - ソフトウェアダウンロード
需要に沿った配信、過剰な設備投資の回避に寄与
- マーケティング・広告
企業ブランドの資産的価値の創造やマルチ・チャネル・マーケティングの活用機会の拡大に寄与
たとえば、Eコマースサイトであれば次のような課題と解決策が考えられるという。
課題
- 配信不能や遅延への対策
キャンペーン時などサーバ負荷が高まり、コンテンツがダウンロードできないなど
- 集客チャンスのロス
マスメディアを通じての露出後のピーク時、大量のアクセスを裁ききれない
- 販売機会のロス
配信停止時間帯にユーザーがカートまでたどり着けない
- セキュリティ機能の担保
外部攻撃からの防御
解決策
- サイト表示速度の高速・安定化
- 設備のオフロード効果
- サイトのWEBセキュリティ対策
実際にアカマイのソリューションを利用する企業として、ニッセンやユニクロの事例も紹介された。たとえば、ニッセンではセールス時に急増するトラフィック対策およびシステム投資が課題であったが、アカマイを導入し、回線帯域やサーバ負荷を約70%削減した。同時にインフラコストの削減やセキュリティ向上なども図られている。
ユニクロの場合は、グローバルで統一されたURLの利用にともなうアクセス速度の遅延が課題だったが、アカマイを導入したことで、大量のアクセス時における地域別のコンテンツ提供を問題なく実現しているという。
最後に渡邉氏は、この他にも多くのB2B企業においてもアカマイのソリューションが利用されていることを話し、講演をまとめた。
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