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2012年が幕を開けた。これはつまり、2011年の予測を振り返るとともに、これからの1年を予測する時を迎えたということだ。
- クリックや訪問が検索順位に影響することを誰かが証明してくれる(あるいは検索エンジンがそれを認める)。
- グーグルのローカル検索やGoogle Mapsにフィルタリングやソート機能が追加される。
- ソーシャル検索が台頭する。
- クエリ文字列から検索順位を追跡できるようになる。
- モバイルが検索やSEOに及ぼす影響は無視できる程度に過ぎない。
- ソフトウェアの利用がSEOにおける定番となる。
- 「SEO」という呼び方がすたれ、より多くの内容を包含する言葉が使われるようになる。
2011年の予測を振り返る
僕はまず、自分に2012年を予測する資格があるかどうかを判断するため、2010年12月に行った予測を採点してみたい。採点のルールは次の通りだ。
1つ1つの予測を、次のようなポイント制で評価する。
当たり外れ度合い | ポイント | 状況 |
---|---|---|
ズバリ的中 | +2ポイント | 予測が見事に当たり、主要な基準が満たされている。 |
不完全な当たり | +1ポイント | おおよそ当たってはいるが、現実とは少し違っている。 |
完全な間違いとは言えない | −1ポイント | 方向は悪くなかったが、どういう意味合いにおいても「正しい」とは言えない。 |
論外 | −2ポイント | 事実にかすりもしていない。 |
ルールはこうだ。それぞれの予測を評価して各ポイントを合計した点数が+1に達しなければ、僕にはこの先1年の予測を立てる資格がない。
さて、2011年、僕は7つの予測を立てたが、世の中の動きはどうなっただろうか。
- クリックや訪問が検索順位に影響することを誰かが証明してくれる(あるいは検索エンジンがそれを認める)。+2ポイント
2011年、グーグルとBingは共に、クリックを含む検索者の行動について、検索順位の決定に影響するシグナルとして使用していることを認めた。この予測はズバリ的中だ(ただし公平を期すために言っておくと、以前の声明によってこれが事実であることはすでに示されていたという意見もあるだろう)。
- グーグルのローカル検索やGoogle Mapsにフィルタリングやソート機能が追加される。−1ポイント
これは完全な間違いの一歩手前だった。僕は、もっとYelpが提供するものに近くなると予測していた(それに、レシピ検索でこういった機能を実現したグーグルの動きがさらなる展開の始まりだと思った)。その代わりグーグルは下図のように、検索候補表示をさらに充実させた。これが「完全な間違いではない」と判断した唯一の理由だ。
- ソーシャル検索が台頭する。−1ポイント
この予測もまた、論外のレベルにかなり近いが、グーグルがソーシャルネットワークに参入してくれたおかげでそうならずに済んだ。検索エンジンにとって、Google+ はソーシャルな要素やシグナルを大幅に追加したし、グーグル/Gmail/Google+のアカウントにログインしている人にとって、ソーシャル検索の結果が増えるということはかなり注目すべき出来事だ。
- クエリ文字列から検索順位を追跡できるようになる。−2ポイント
悲しいかな、この予測はかすりもしなかった。クエリ文字列に検索順位を示すパラメータが含まれるというのを最初に見たのは2009年のことで、僕はグーグルが大々的にこれを展開すると確信していた。だが、検索のリファラーを示す文字列に検索順位のデータが含まれているのは、まだ全体の10~20%に過ぎないし、SSL検索による検索キーワードの非表示という新しい問題 によって、手作業またはマシンベースの検索順位追跡がより一層重要になった。これが実現すれば、グーグルがより開かれたものになる大きなチャンスだと思っていたのに、残念だ。
- モバイルが検索やSEOに及ぼす影響は無視できる程度に過ぎない。+1ポイント
2012年は(ついに)モバイルの年になると断言している専門家が多いけれど、僕に言わせれば、2011年は検索という世界がデバイスに縛られないものであることが証明された年だった。モバイルやタブレットはたしかに普及したが、それによってSEOのあり方が変わるということはなく、地域や位置情報に関する検索が増加し、総体としてのウェブが日常生活の中で以前にも増して大きな部分を占めるようになっただけだ。
- ソフトウェアの利用がSEOにおける定番となる。+1ポイント
このことを数字で示すのは難しいが、方向は正しかったと思う。Forrester Interactive Marketingのレポート(PDFファイル)は、企業レベルでSEOソフトウェアの導入が広がっていることを指摘しているし、Yahoo! Site Explorerのサービス終了もあって、サードパーティ製のソフトウェアやツールが今まで以上に欠かせないものになっている。ソフトウェアが「定番」になっているという確固たる証拠がないので、+2ポイントをもらう気はないが、SEO業界に関する今後の調査でこの部分がはっきりしてくるかもしれない。
- 「SEO」という呼び方がすたれ、より多くの内容を包含する言葉が使われるようになる。+1ポイント
大きな動きにはならなかったものの、「インバウンド・マーケティング」や「インバウンド・マーケター」といった言葉への関心が高まっているように思える。僕はこうした言い方が気に入っている。それは、人々の信頼と関心を、お金で買うのではなく自らの努力によって獲得することを示唆し、そこにはSEOやソーシャルメディア、コンテンツ・マーケティング、ブログ、ウェブ解析も含まれるからだ。最近いくつかの代理店を対象に調査をしてみたのだが、自社は「インバウンド/オーガニックな」代理店だと回答したグループが最も多かった。
回答 パーセン
テージ回答数 SEOコンサルティング会社/代理店 24.4% 70 インバウンド/オーガニック・マーケティングのコンサルティング会社/代理店 24.7% 71 ウェブデザイン/ウェブ開発会社 19.5% 56 報酬型マーケティングのコンサルティング会社/代理店 7.3% 21 従来型のマーケティング/広告代理店 3.8% 11 インタラクティブな代理店 11.1% 32 リードジェネレーション(見込み客獲得)代理店/コンサルティング会社 1.0% 3 専門店・ブティック型コンサルティング会社/代理店 8.0% 23 その他(具体的に) 17 回答総数 287 無回答 9
2011年の予測当たり外れ総合ポイント: +1ポイント
さて、採点を合計してみると+5ポイントと−4ポイントで、差し引き+1ポイントとなり、これからの1年の予測をするに足る信頼性を(かろうじて)保つことができたようだ。(^^)
今年は、(7つでなく)8つの予想を立てる。個々の予測については、単に僕の考えを示すだけでなく、できればマーケターに多少なりとも何らかの行動を(暗示的であれ明示的であれ)促すものにしたい。また、各予想は年末に検証できるようにして、改めて僕の力量をチェックすることを目指す。
【予想1】
Bingの米国市場シェアは若干増加するが、グーグルの80%超に対し20%弱という状況は変わらない
Comscoreによると、米国におけるBingとヤフーの市場シェアは合わせて約30%で、グーグルは約65%だという。僕個人としては、この数字はわりと不正確で、Statcounterのようなソースから導き出された数字(サンプル抽出したオーディエンスからの回答ではなく、サイトに流入したトラフィックを調査している)の方が信憑性は高いと考えている。Statcounterでは、グーグルが約82%で、Bingとヤフーを合わせたシェアは約16%だ。これらの数字は、2013年1月にもほとんど変わらないと見ている。
個人的な見方だが、最大の理由は、必ずしもグーグルに対するブランド・ロイヤリティや惰性だけでなく、ロングテールのクエリにおいてグーグルの方がすぐれたパフォーマンスを維持しているからだと思う(このRedditのスレッドにある多数のコメントは、「アーリーマジョリティ(初期多数採用者)」に当たる検索エンジン利用者がどのように感じているかを理解するために、一読の価値がある)。
【予想2】
ソーシャルメディアを無視したSEOは過去の遺物となる
僕たちはすでに、SEOとソーシャルメディア・マーケティングとの間に分かちがたい結びつきが生じるのを目の当たりにしている。リンクビルディングを伴わないSEOが1999~2000年以降に姿を消したように、2012年には、ソーシャルメディアを無視したSEOも廃れていくだろう。
これはつまり、ソーシャルメディアの発するシグナルが検索順位決定アルゴリズムに(直接的にしろ間接的にしろ)組み込まれつつあるというだけではなく、ウェブユーザーにとって、ソーシャルメディアが共有や発見の手段として主流になりつつあるということだ。
リンクグラフは今後数年間も有用性を保つだろうが、新しいもの、興味深いもの、有用なもの、関連性があるもの、高品質なものを提示するその能力は、ソーシャルな「シェアグラフ(ShareGraph)」によって徐々に奪われつつある。
こうした傾向もあって、SEOという言葉の持つ力は弱まり(ただしその実践や戦術は力を持ち続けると思うが)、10年以上にわたって自分の仕事をSEOという言葉で説明してきた僕らも、より多くの内容を包含する言葉を使い始めざるを得ななくなるかもしれない。
【予想3】
グーグルはついに、操作的なリンクスパムに対し、より強力なパンダアップデート型の措置を講じる
グーグルでは、リンクへの過剰な依存が続いており、これはグーグルが抱える大きな弱点の1つだ(そして公平を期すならBingも)。検索順位の決定に圧倒的な影響力を持つシグナルとしてリンクの重みが高いのだ。
僕はつい最近グーグルなら明らかに低く評価するはずのサイトから、一見してうさんくさいリンクをいくつかのウェブページに張ってごらんという友人の提案を実行してみた。すると24時間も経たないうちに、数週間にわたって変動がなかった1位から5位の検索順位に劇的な変化が見られた(この実験については改めて報告しよう)。こんなことは起こるべきではないし、グーグルのウェブスパムと検索品質のチームもすでにこの件を把握している。
僕の予測では、2012年中に、グーグルの検索品質チームが低品質のリンクを評価する部分でアルゴリズムに変更を加え、仕事に対するプライドを取り戻すだろう。リンクスパムが引き起こす混乱と品質のギャップは実にひどいもので、もしこのまま放置すれば、競合他社に付け入る隙を与えると同時に、グーグルの検索結果に対する検索エンジン利用者の信頼を損ねてしまう。2011年に「コンテンツファーム」が打撃をこうむったように、2012年にはリンクスパム業者が痛い目を見ると思う。
【予想4】
PinterestというSNSが主流派の仲間入りをする
この4年間で、Facebook、Twitter、LinkedIn、FourSquareそしてTumblrが、いずれも1000万人を超えるユーザー数を記録した。僕はPinterestが同様の成功を2012年に収めると見込んでいる。また、男女比で見た場合、Pinterestは女性ユーザーの方がかなり多いという最初の大手SNSでもある(僕の見方では、これはすごいことだ)。
こうした躍進のおかげで、Pinterestを活用してコンテンツを共有したり潜在顧客を見つけたりする方法をマーケターに指南するこのような投稿が増えても意外ではない。
【予想5】
過剰なまでに積極的な検索広告が、
グーグルに対する大きな反感につながる
検索広告業界では現在、ちょっとおかしな事が起きている。その事例を見ていこう。
僕の(かなり高解像度の)ノートPCでも、オーガニック検索の結果はたった1件しか表示されておらず、検索連動型広告の表示スペースが異様に大きい。星印による評価、売り手についてのレビュー、価格と個々の商品、写真、注目のブランドなど、あれやこれやでページが埋めつくされている。
また、次の例も見てほしい。
グーグル検索では今も、オーガニックなリスティングの上部に、フルサイズの広告を3つまで表示できる枠がある。そのため、クレジットや金融分野でグーグルが提供している「比較広告」は、オーガニックな検索結果をさらに下へ追いやってしまう。
特に大胆なものを1つ紹介しよう。
上のスクリーンショットで示したように、ログインしているユーザーのメールアドレスを自動的にペイパークリック(PPC)広告に挿入するという、グーグルの新しい機能だろう。これはまだあまり見かけないが、もっと大々的に展開されたとしても意外ではない。
僕の予想では、2012年は「検索連動型広告の無視」について研究や報告が行われ、検索エンジンの最終損益に影響を与える始まりの年になるだろう。オーガニックな検索結果は、依然として全クリックの80%以上を獲得しているが、期待される収益を出し続けようとしてグーグルが検索連動型広告に力を入れることで、この割合は下がり続けている。
【予想6】
キーワード情報を取得できない「(not provided)」の検索が
全体の25%を超える
グーグルの声明では、(SSL検索で)キーワード情報が取得できないユーザーの割合は10%未満に留まるとされている。だが、グーグルアカウントにログインしている(そのためキーワード情報が取得できない)検索利用者からのトラフィックは、2012年12月までに全体の25%に達すると僕は予想する。グーグルは、Android、Google+、Google AppsそしてGmailの普及に力を注いでおり、そのどれもが、キーワード情報を取得できない検索利用者の割合の増加につながるだろう。
僕はこのプログラムが中止になることを願っている(プライバシーのリスクは明らかに皆無だ。だって有料広告主にはデータを提供しているんだから)。しかし、グーグルは圧倒的な力を持っているし、対するマーケティング市場の顧客たちは、グーグルよりはるかにまともだが、メディアの中でそれほどうまく立ち回れそうにない。
グーグルはこの件でうまい駆け引きを見せたので、僕らとしては、邪悪な方向には向かわないとグーグルが決断してくれることを願うばかりだ。残念ながら、最近のグーグルは僕らの願いと反対の方向へ進んでいるのだが。
【予想7】
厳格な認定プログラムが躍進する
検索マーケティングやインバウン・ドマーケティングの業界は、才能のある若者が成熟した専門家になるための支援プログラムを渇望している。今のところ、SEMPO、Market Motive、(HubSpotによる)Inbound Marketing University、Search Engine Collegeなどさまざまな組織がこうしたサービスを提供しているが、この業界の人事担当者や企業から広く認められるほどの規模を持つものはまだない。
「厳格な認定プログラムの躍進」が意味するところを数値で表すことは難しい。そこで僕は、5000人以上のLinkedInユーザーを擁する業界の認定プログラムが、年末までに少なくとも1つは現れるだろうと言っておく(現在、Market Motiveが1700名近いユーザーを擁して首位にある)。
【予想8】
Google+を使わずに優れたSEOを実施することが極めて困難になる
グーグルは、検索結果にGoogle+ブランドのページを追加することをまさに始めたところだ。また、「rel=author」タグではグーグルのアカウントに登録されたプロフィールを利用している。そして、Google+のサークルや+1ボタンを検索結果ページに表示するようにした。2012年には、こうしたパターンが、オーガニック検索で高い順位を目指すための努力をGoogle+のログインおよび認証システムに結びつけるグーグル全体の組織立った取り組みになるだろうと思う。これは、グーグルのソーシャルネットワークの利用を推奨したり強制したりするだけではなく、グーグルに対して、ソーシャルネットワーク、検索順位、および露出度のそれぞれのシグナルを1つに結びつける(そして恐らくスパムやごまかしに対抗することも含めた)、より強力な能力を与えることでもある。
マーケターにとってプラスの面は、ソーシャルプラットフォームとのより緊密な統合が、SEOとソーシャルメディア・マーケティングの両方をうまく管理できる人々に恩恵をもたらすということだ。また、(希望的観測だが)これによって、(完全一致のドメインやアンカーテキストを使ったリンクスパムのような)不正操作が有効性を失い、ブランドシグナルの構築を支援するホワイトハット的戦術は恩恵を受けるだろう。
一方でマイナスの面は、グーグルが多分、ユーザーのオンライン行動すべてについてより多くのデータを得ることになり、それによってグーグル自身がウェブ上で現在にも増して、行き過ぎなほど強力な力を持つようになることだ。僕らはただ、グーグルが同時により慈悲深くなってくれることを願うしかない――とはいえ、強大化はえてして堕落につながりやすいのだが。
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オリジナル記事:2012年のSEOに関する8つの予測 ―― ソーシャル/リンクスパム/PPC…… [SEOmoz - 検索マーケティングのニュース&テクニック] | Web担当者Forum
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