EC支援事業者の東南アジア進出が相次いでいる。ECサイト構築のコマース21(本社東京都、小林裕紀社長)は11年9月にシンガポールに100%子会社を設立。ネット決済代行のSBIベリトランス(本社東京都、沖田貴史社長)は今年1月中に、ネットプライスドットコムなどと共同で、現地でEC決済を提供する会社を設立する。このほか、楽天、アパレルEC支援のアパレルウェブ(本社東京都)やSEOなどを手掛けるイトクロ(本社東京都)も東南アジアへ進出している。中国EC市場の開拓が計画通り進まない中、ネットインフラの整備などにより、今後EC市場が急成長すると見られている東南アジアに、EC支援事業者の目は向かっているようだ。
ここ数年、EC支援事業者が展開している海外進出支援サービスは中国向けが多かったが、昨年後半から東南アジア向けサービスが目立っている。コマース21とアパレルウェブはシンガポールに、SBIベリトランスとイトクロはインドネシアにそれぞれ進出している。
EC支援事業者が相次いで東南アジアに進出しているのは、現地のEC市場が急成長する可能性が高いと見ているためだ。
インドネシアのインターネット普及率は現時点で約12%だが、今後5年間で60%に成長すると見込まれている。これに伴いEC市場も大きく拡大すると予想されている。シンガポールは、ネット環境が整備されているものの、ECサイトがまだ少なく、今後ECサイトの増加が見込まれている。
「東南アジアへ進出を検討しているEC企業は多いが、支援サービスは整っていない状況だ。ECを取り巻く環境は、ちょうど10年前の日本に似ている。進出のタイミングとしては、これ以上ないタイミングだと思っている
」(コマース21・小林社長)と話す。
各社が東南アジアに目を向けているのは、中国EC市場へ進出する日本企業が予想よりも少なかったこともある。
07年から、中国EC市場への進出支援を手掛けるEC事業者は増えてきたが、通販・EC事業者の腰は重く、実際の進出企業は伸びなかった。
また、進出した企業も計画通りの売り上げは達成できず、この話が日本の事業者の中国進出をさらに鈍化させたと言われている。
その間に「VANCL」など現地の有力ECサイトが急成長を遂げ、新規参入のメリットが生まれにくい状況になっている。
「中国では、日本企業向けに売れるためのサービスを数多く用意したが本気で取り組む日本の事業者が少なく、うまくいかなかった。東南アジアでは、現地の企業を中心にサービスを展開して事業化させ、その上で、進出したい日本企業を集めていきたい
」(SBIベリトランス・沖田社)としている。
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