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もしも、「外務省」を解析するなら(後半)[第53回] [有名サイト、かってに解析!] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 7 分

誰もが知っている有名サイトをエキスパートレビューしながら、「もし、アクセス解析するなら」どのポイントに着目するかを第三者的な視点から解説。アクセス解析を用いてサイトの改善を行うための仮説構築力を身につけて、自社サイト、クライアントサイトをアクセス解析する際に役立ててほしい。

有名サイト、かってに解析!

毎週・木曜9時は「かってに解析!」。誰もが知っている有名サイトをかってに取り上げ、「もしもアクセス解析をするならば、どこに目をつけるか?」という視点で、サイトの問題点やチェックポイントにあたりをつける方法を解説していく。

今回も、前回に続き、「外務省」を取り上げる。国の行政機関のサイトを取り上げ、課題の抽出や考察を行うのだが、筆者はさまざまな行政機関やそのサイトが直面している課題や役割を十分に理解しているわけではない。あくまでもどのような点に着目したらよいのかを重視して読んでいってほしい(以下、カギ括弧付きで「外務省」と書くときには、外務省自体ではなく、外務省のWebサイトを指す。他の省庁や行政機関も同様)。

「外務省」の閲覧シチュエーションを想定

閲覧シチュエーションは、前回同様だが、念のためおさらいをしておこう。今回のWebサイト利用シナリオは、「エジプトに旅行しに行こうと考えている人が、今行っても安全なのかを確認し、パスポートやビザを申請する」というものだ。

誰が エジプト旅行を企画している人
何の目的で 安全情報の確認と手続きの確認
具体的には 渡航情報のチェック、ビザの要不要の確認、パスポート申請方法の調査

「外務省」をエキスパートレビュー!

前回のおさらい(エジプトに対する渡航情報の発見まで)

前回は、閲覧目的の1つである「エジプトの渡航情報(安全情報)の確認までをおこなった。その過程は以下のとおりだ。

図8で、1つめの目的である「エジプトの危険情報」を見ることができた。著名な観光地以外は現在それほど安全ではないということがわかった。さてそれでは「外務省」のトップページに戻ろう。

トップページに戻って、ビザの確認へ

図8右上の「外務省ホームページ」の部分をクリックして、いったん図3の「外務省(日本語)」トップページに戻る。

図3(再掲):「外務省」(日本語版)トップページ
図3(再掲):「外務省」(日本語版)トップページ
  • エジプトへの渡航にビザが必要なのかを調べたい

「外務省」をエキスパートレビュー!(続き)

エジプトへの入国はビザが必要なのか?

次は、エジプトへの入国に際して、ビザの取得が必要なのかの調査だ。トップページの右側「渡航者、海外在住者向け」の情報のカテゴリーにある「ビザ」(前ページ図3の緑枠で囲んだ部分)をクリックして進もう。

すると、「ビザ(査証)」というページに飛び、いきなり次のような文章が表示される(図9の赤枠で囲んだ部分)。

日本国籍の方が海外へ渡航する際のビザ(査証)については、渡航先国・渡航目的・滞在期間等によってビザ(査証)の要否・種類が異なり、また、国によっては事前通告なしに手続きが変更される場合もありますので、詳細は日本国内にある渡航先国の大使館・総領事館に確認し、最新の情報を入手してください

肩透かしを食らった形だが、要するに、外務省のWebサイトでは、ビザの要不要が確認できないということだろうか?

図9:「外務省」の「ビザ(査証)」ページ
図9:「外務省」の「ビザ(査証)」ページ

指示どおりに、赤枠で囲んだ部分にある「渡航先国の大使館・総領事館」のリンクをクリックして、駐日外国公館リスト(図10)へ移動する。

図10:「外務省」の「駐日外国公館リスト」ページ
図10:「外務省」の「駐日外国公館リスト」ページ

駐日外国公館がある国がすべてリストアップされているようだ。地域ごとに五十音順に並んでいる。ここで、「アフリカ」の中から、今回のお目当ての国である「エジプト」をクリックする(図10の赤枠で囲んだ部分)。

すると、アフリカの駐日外国公館リストが50音順に表示されているリストのページに移動した上で(図11)、ページ内リンクで該当国(今回はエジプト)が一番上に表示される(図12)。

図11:「外務省」の「駐日外国公館リスト アフリカ」
図11:「外務省」の「駐日外国公館リスト アフリカ
図11:「外務省」の「駐日外国公館リスト アフリカ」ページで、「エジプト」にジャンプしたところ
図12:「外務省」の「駐日外国公館リスト アフリカ」ページで、「エジプト」にジャンプしたところ

図12の赤枠で囲んだ部分が、エジプトの在日外国公館に関する情報だ。住所と電話番号しかないので、個別に問い合わせが必要だということだろう。大使館に直接電話をするというのは、一般人にとってはかなりハードルが高い。がっかりだ。これならむしろ旅行会社に聞いた方が早そうだ

もし駐日エジプト大使館のWebサイトがあるなら、せめて、URLぐらいは記してほしいものである。調べてみたところ、「エジプト大使館・観光局」というWebサイトが存在しており、サイト内には、「ビザ」というページも見つかった。

  • パスポート取得情報のところに、ビザの情報もあるのではないか?

「外務省」をエキスパートレビュー!(続き)

パスポート経由でビザの情報を取得できないか調べてみる

さて、エジプトへの入国に際して、ビザの要不要は「外務省」のサイトでは確かめられなかったので、「外務省」トップページに戻り、今度は「ビザ」の左隣にある「パスポート」のテキストリンクをクリックする。もしかすると、ビザに関しても情報が掲載されているかもしれない。

図13のように「パスポート」のページに飛ぶ。しかし、旅券(パスポート)の申請についてのパート(図13の赤枠で囲んだ部分)はファーストビューぎりぎりの一番下に見えている程度だ。

図13:「外務省」の「パスポートのページ」のページ
図13:「外務省」の「パスポート」のページ

「パスポートの申請から受領まで(初めてパスポートを申請するとき等の例)」と書かれたリンクをクリックして、「パスポートの申請から受領まで」のページ(図14)へ進む。

上から、

  • 書類を揃える
  • 申請する
  • 受領する

という流れで説明してあり、わかりやすい。ただ申請は各都道府県の申請窓口にしなければならないようだ。そのリンク(図14の赤枠で囲んだ部分)をクリックすると、図15の「パスポート申請先都道府県ホームページへのリンク」ページへ進む。

ここでは、筆者の居住地である「神奈川県」を選択する(図15の赤枠で囲んだ部分)。図16が「神奈川県のパスポートセンター」になる。ここからは当然、各都道府県でバラバラなので、以下の手続きは、今回は取り上げない。

  • エジプトの鳥インフルエンザ関連情報を調べたい

「外務省」をエキスパートレビュー!(続き)

エジプトの鳥インフルエンザ関連情報を調べる

今の時期、海外旅行にはいろんなリスクがあるが、そのうちの1つである鳥インフルエンザ関連情報を調べてみよう。

前回も取り上げた図7の「エジプトに関する感染・スポット・危険情報」の一番上にある「感染症関連情報はこちら」(下の図7の緑枠で囲んだ部分)をクリックする。

図7(再掲):エジプトに関する「感染・スポット・危険情報」
図7(再掲):エジプトに関する「感染・スポット・危険情報

すると、「感染症関連情報のページ(図17)に移動するので、ここで「検疫所ホームページ」(赤枠で囲んだ部分)のリンクをクリックする。

図17:「感染症関連情報」
図17:「感染症関連情報

ここからはドメイン名が変わって、「厚生労働省検疫所」のWebサイトへ移動する(図18)。

図18:「厚生労働省検疫所」のWebサイト
図18:「厚生労働省検疫所」のWebサイト

この地図で「アフリカ地域」(図18の赤枠で囲んだ部分)をクリックすると、図19のようにアフリカ地図に絞られる。

図19:「厚生労働省検疫所」の「アフリカ地域」のページ
図19:「厚生労働省検疫所」の「アフリカ地域」のページ

このページで、エジプトのある「アフリカ サハラ以北」のエリア(図19の赤枠で囲んだ部分)をクリックする。すると、「国別情報:エジプト」のページ(図20)に移動する。

図20:「厚生労働省検疫所」の「国別情報:エジプト」のページ
図20:「厚生労働省検疫所」の「国別情報:エジプト」のページ

エジプトへの渡航に際しての感染症情報は、このページで十分提供されている。じつは、「外務省」のサイトにも、「世界の医療事情」というページがある。見せ方に何の工夫もないテキストだらけのページで、愚直ではあるが、必要な情報は網羅されている。とはいえ、世界各国の情報でも、情報の入手経路や管轄が異なるので、ユーザーの立場から考えて、省庁を横断して情報のリンクがされているのは当然だろう

  • 前回+今回のまとめ&アクセス解析的視点でのチェックポイント

前回+今回のまとめ&アクセス解析的視点でのチェックポイント

最後にアクセス解析的な視点で見るべきポイントをまとめておこう。

  1. トップページについて

    本文中でも触れたが、「外務省」を利用する人たちの目的は様々だろう。どのような目的で訪問しているかは、大雑把にどういったコンテンツがどのくらい利用されているのかというデータから判断すべきだ。その上で、ある程度類似したコンテンツをグルーピングして同種のカテゴリーとして括ってコンテンツを見せるといった方法がよいと思われる。

    提供したいと思っているコンテンツと、実際に見られているコンテンツのギャップはあるだろうが、実際に見られているコンテンツを見やすいようにグルーピングして強弱をつけて提示するのが望ましい。新着情報やお知らせが本当にクリックされているのであればこのままでよいかもしれないが、もしそうでないならユーザー本位なトップページがどうあるべきかを考えた方がよいだろう

    各種コンテンツページから「外務省」のトップページに戻りたいときには、左上の「外務省」という文字のあたりをクリックすればトップページに戻ることができる。この際についているURLがhttp://www.mofa.go.jp/mofaj/index.htmlとなっている。何が言いたいかというと、ファイル名(index.html)が付いているURLと、付いていないURLの2通りが存在しているということだ。

    アクセス解析ツールによっては、この2つのURLを同じとみなして集計するような設定をしないと、別々に集計されてしまうことになってしまうので、要注意だ。もちろんSEO(検索エンジン最適化)の観点からも同じページに2つの表示方法があるのは不利なので、本来なら1つのURLに統合するのが望ましい

  2. 各ページの閲覧状況

    情報が多いのは仕方ないと思うので、様々なページで関連リンクや各種機能などが多く配置されている場合は、どのリンクがクリックされているのかというデータを、リンク先のコンテンツのグルーピングや順番を決める判断基準として利用するのがよい

    本文で触れたところでは、例えば図4の「渡航関連情報」、図5の「海外安全ホームページ」、図9の「ビザ」、図13の「パスポート」、図17の「感染症関連情報」といったページだ。けっこう情報ニーズは偏っていると思うので、実態に即したリンクの配置構造にするのが望ましいだろう

  3. 検索結果ページ

    情報量が多いこともあり、Webサイトの右上には基本的にフリーワード検索の入力窓が設置されている。適切なキーワードを入れれば、おかしな結果が表示されることはなさそうだが、検索結果から速やかに目的のページへ移動しているかどうかは大事なポイントだ

    まずはどのページで何を検索されているのかということを把握し、何が検索されているのか、それはどこで検索されているのかという事実から、ニーズに対するリンクの配置の参考にしよう。また検索でヒットしない場合に、代替案の表示などはなさそうなので、結果を1件も返せなかったクエリーがどのくらいあったのかとか、その場合のキーワードは何だったのかといった情報も取得できるようにしておくとよいだろう

    その他としては、サブドメインとインターフェイスについて。外務省管轄のWebサイトは様々なサブドメインで運用されているようだし、他省庁管轄のサイトへのリンクも多い。他の省庁や都道府県などの管轄するサイトへ飛んで行った場合に、ユーザー体験が異なるのは仕方ない面はあるだろうが、同じ外務省管轄のWebサイト群でインターフェイスが異なるのは、ユーザーとしてはとまどうのではないか。外務省管轄のWebサイトで、ユーザー体験がそれほど異ならないようなユーザーインタフェイスの統一をもう少し推し進めることはできるような気もした。

◇◇◇

さて、約1年のあいだご愛読いただいたこの連載も、来月(2012年3月)いっぱいをもって終了することなった。本連載では、連載開始時から変わらず、

  • Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
  • 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論

を募集してきた。実際にご応募いただいたことがきっかけで、取り上げさせていただいたサイトもいくつかある。しかし、本連載も残るところあと5、6回。「かってに解析」希望者は、早めに(web-tan@impressrd.jp)まで、リクエストをお寄せいただきたい。

衣袋 宏美

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Web Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

著書など:
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