この記事では、一般消費者1万人と企業400社への調査データから、日本のソーシャルメディアの利用実態を明らかにした、書籍『ソーシャルメディア白書2012』のなかから、Web担の読者向けに注目データをピックアップし、全9回にわたってお届けします。
- ソーシャルメディアの普及にはメディアだけでなく、友人も大きく影響
- ソーシャルメディアごとに大きく異なる利用目的
- 若年層はソーシャルメディアへの満足度が高く、継続意向も高い
ソーシャルメディアの普及にはメディアだけでなく、友人も大きく影響
日本のソーシャルメディアの中で、主要な6つのコミュニケーションサービス(Blog、Twitter、mixi、Facebook、GREE、mobage)の利用のきっかけをそれぞれ分析すると、2つの傾向が見えてきました。利用のきっかけとして、全体的に比率が高いのは、友人経由の「友人がやっていて興味を持ったから」や「友人に薦められたから」と、メディア経由の「テレビ番組や雑誌記事などを見て興味を持ったから」や「Webニュースなどで興味を持ったから」といった、友人およびメディア経由の2種類であることがわかりました(図1:主要コミュニケーションサービスの利用のきっかけ)。
サービス別に見ると、mixiは友人経由で利用を始めたユーザーが多くなっています。「友人に薦められたから」と回答したユーザーの割合が46.7%と最も高く、「友人がやっていて興味を持ったから」が46.5%と続き、利用のきっかけとして友人の影響が非常に大きいことがわかります。同様に、Facebookでも友人が要因となって利用を開始したユーザーが多く、「友人がやっていて興味を持ったから」が33.4%で、「友人に薦められたから」が28.6%となっていました。
一方、Twitterでは「友人がやっていて興味を持ったから」が31.9%となっているものの、「友人に薦められたから」は15.0%にとどまり、「Webニュースなどで興味を持ったから」と「芸能人や著名人がやっていて興味を持ったから」がそれぞれ23.5%と22.7%であるように、友人経由以外のきっかけで利用を開始したユーザーの割合も高くなっています。
ソーシャルゲームサービスのGREEとmobageでは、利用のきっかけとして「テレビ番組や雑誌記事などを見て興味を持ったから」を選択したユーザーの割合が、それぞれ24.5%と25.2%で最も高く、マスメディアの影響を強く受けていることがうかがえます。
ソーシャルメディアごとに大きく異なる利用目的
6つの主要ソーシャルメディアのユーザーは、それぞれのサービスを異なる目的で利用していることが今回の調査から明らかになりました。その利用目的は大きく「情報発信・収集」「実社会(リアル)での友人・知人とのコミュニケーション」「暇つぶし」の3つであり、それぞれの利用目的に応じて6つのサービスを次の3タイプに分類することができます(図2:主要コミュニケーションサービスの利用目的)。
- 情報発信・収集:Blog/Twitter
- 実社会(リアル)での友人・知人とのコミュニケーション:mixi/Facebook
- 暇つぶし:GREE/mobage
それぞれ、詳しく見ていきます。
- Blog/Twitter ―― 情報発信・収集
BlogとTwitterは「自分の個人的な雑感などを発信するため」「趣味の情報を得るため」「趣味の情報を発信するため」「芸能人や著名人の情報を得るため」など、個人的な興味・関心事について情報発信・収集する目的での利用が他のサービスと比較すると多くなっています。この傾向はBlogではより顕著に見られます。
一方で、「仕事に関する情報を発信・取得すること」を利用の目的として選択したユーザーは非常に少なく、BlogとTwitterは仕事のためよりも、個人的な楽しみのために活用されることが多いとわかります。ただし、「好きな企業やブランドの情報を得るため」と回答したTwitterユーザーは8.4%おり、企業公式アカウントをフォロー・閲覧しているユーザーも一定数存在するようです。
- mixi/Facebook ―― 実社会(リアル)での友人・知人とのコミュニケーション
mixiとFacebookについては、「実社会(リアル)での友人や知人とコミュニケーションをとるため」「実社会(リアル)での友人や知人の近況を知るため」に利用されることが多いとわかりました。また、リアルの友人・知人ほどではないが、「ネット上の知り合いとコミュニケーションをとるため」と回答したユーザーも多くなっています。
Facebookにおいてはユーザーの7.6%が「好きな企業やブランドの情報を得るため」と回答しており、企業の公式ページを訪問するユーザーも一定数存在します。一方で、mixiにも企業が運用する公式ページ(mixiページ)がありますが、今回の調査を実施した2011年10月時点においては、mixiページがリリースされた直後だったこともあり、それを利用目的としているユーザーはわずかにとどまりました。
- GREE/mobage ―― 暇つぶし
GREE、mobageは「暇つぶしをするため」と回答したユーザーが70%以上(他サービスの2倍以上)と非常に多く、この2つのソーシャルゲームサービスが隙間時間や時間に余裕ができた時などに利用されていることがうかがえます。
ソーシャルメディアに対する満足度と連動する継続利用意向
次に、主要コミュニケーションサービスにおいて、利用満足度と継続利用意向の関係について分析を行ったのが図3の「主要ソーシャルメディアにおける利用満足度と継続利用意向の関係」です(性・年代別に利用満足度と継続利用意向を算出)。
調査から、全体的にサービスの利用満足度と継続利用意向の間には正の相関がみられ、満足度が高いユーザーは継続利用意向も高い傾向にあることがわかります※1。
※1 満足度は「非常に満足(2ポイント)」「やや満足(1ポイント)」「どちらともいえない(0ポイント)」「やや不満(-1ポイント)」「非常に不満(-2ポイント)」と回答したユーザー比率に、それぞれのポイントを掛け合わせた加重平均によって算出しています。同様に、継続意向は「利用する頻度を増やしたい(2ポイント)」「今と同じ頻度で利用したい(1ポイント)」と回答したユーザー比率に、それぞれのポイントを掛け合わせて算出しています。
ただし、サービス別に見るとそれぞれ異なる傾向が見られます。BlogとTwitterは利用満足度の高い性・年代別ほど継続利用意向が高く、ほぼすべての性・年代別において高い継続利用意向を示しています(特に10代男女)。mixiも利用満足度と継続利用意向の間に相関が見られましたが、BlogやTwitterに比べ、継続利用意向は総じて低くなっています。
Facebookは他サービスに比べ、すべての性・年代間のバラツキが小さく、利用満足度と継続利用意向の間の相関も非常に小さくなっており、利用満足度は中程度ですが、総じて高い継続利用意向を示しています。
GREEとmobageについては、利用満足度と継続利用意向がともに総じて低くなっています。また、いくつかの例外はありますが、各サービスとも、年代が低いほど利用満足と継続利用意向が高くなる傾向が見られました。
第2回ハイライトでは「ユーザーのソーシャルメディアに対する意識」について紹介しました。
友人同士のコミュニケーションを行う場であるmixiとFacebookは、友人を経由したクチコミが強く影響し、ゲームプラットフォームであるGREEとmobageは、マスメディアを経由しての利用が多くなっているというのはある程度想定できた結果でしたが、情報ネットワークを自称するTwitterの利用のきっかけとして、芸能人や著名人の影響が強いというのは非常に興味深い点ではないでしょうか。
そのような利用開始のきっかけは利用目的にも強く反映され、その意味で情報発信・収集を目的とするBlogとTwitter、コミュニケーションを目的とするmixiとFacebook、余暇時間に利用されるGREEとmobageはそれぞれまったく異なる性格とユーザーをもったソーシャルメディアだと言えます。
最後に、「ソーシャル疲れ」といった言葉が利用され始めていますが、継続利用意向については、最も熱心に利用しているであろう若年層ほど満足度と継続利用意向が高いというのも非常に興味深い結果だと言えるのではないでしょうか。
今回は紹介しきれませんでしたが、その他関連する項目として利用満足度のみに焦点を当てたリサーチや非利用者の利用意向などの情報も書籍には掲載されていますので、ご興味お持ちの方がいらっしゃいましたらぜひ手にとって見ていただければと思います。
次回は「注目されるソーシャルメディア利用:チェックイン、ハッシュタグ」についてご紹介していきます。
- 調査目的:一般消費者のSNS利用状況の把握
- 調査期間:2011年10月3日(月)~2011年10月10日(月)
- 調査手法:インターネット調査(クロス・マーケティング アンケートモニター)
- 調査対象:全国15~69歳までの男女
- サンプル数:10,715サンプル
10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | |
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 387 | 924 | 1089 | 938 | 1105 | 905 |
女性 | 370 | 886 | 1053 | 928 | 1141 | 989 |
日本では本格的なソーシャルメディアに関連したデータ集が圧倒的に不足しており、提案の現場では海外調査データや簡易的なウェブ調査などが多数引用されている状況である。そこで本書は、消費者や企業のソーシャルメディアの日本での利用実態を多様なデータとともに明らかにする。今後、ソーシャルコマース、ソーシャルCRM、ソーシャルゲームなど、さらにソーシャルメディアは存在感を増していくなか、本当に使えるデータを網羅する!
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- 記事種別:調査データ
- コーナー:ソーシャルメディア白書2012 ハイライト
- 内容カテゴリ:調査/リサーチ/統計
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オリジナル記事:GREE/mobageは暇つぶし、Twitterは情報発信・収集、mixiとFacebookはコミュニケーション目的 | ソーシャルメディア白書2012 ハイライト #2 [ソーシャルメディア白書2012 ハイライト] | Web担当者Forum
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