特産品を生かしたおせちをネットで販売する地方事業者の売れ行きに差が出てきている。北海道産品を使ったおせちを販売する夕張名産センター(本社北海道)は11月下旬時点で、おせちの販売個数が咋年の2倍に達している一方、東北の老舗旅館が販売するおせちは苦戦している。原発事故による放射能汚染の問題が、食品を選ぶ消費者の目を厳しくしていることが一因だ。消費者の信頼獲得が勝負の分かれ目となっている。
北海道食材は前年の2倍で推移
夕張名産センターが運営する北海道食材の販売サイト「産直食卓」は、おせちの販売個数が昨年に比べ11月下旬時点で2倍で推移している。売れ筋の「北海道 匠膳」は、3段重をそれぞれ和洋中と味を変え、54品を詰め込んだ。
「北海道の食材と言えばカニが人気。だが、カニを前面に出した商品作りはしていない
」(おせち担当・佐藤治武氏)。品目や味のバリエーションを幅広く持たせることで、高齢者から子どもまで受け入れられるおせちを目指した。
紹介ページでは品目の数や内容に加え、全体のサイズや重量も明記。54品目それぞれの拡大画像も用意し、どの食材が北海道産か分かるようにした。購入者が疑問や不安を抱かないようなページ作りを心掛けているという。
「おせち商戦は年末だけではない。販売は夏から始まり、その前に顧客との信頼を勝ち得ていないと駄目
」(同)。普段の販売状況が、おせちの販売数にも影響すると指摘する。
水産加工会社の大磯(本社島根県)が運営する水産品販売の「いそまる本舗」は、島根県の浜田港で水揚げされる白身魚「のどグロ」の塩焼き入り海鮮おせちを販売。11月下旬時点では咋年を上回る個数を販売している。
「今年は取り扱うおせちのサイズを咋年の2種類から4種類に増やした。これまで用意してなかった4~5人向けが売れている
」(本店店長・勝手正幸氏)。節約志向や震災の影響からか、来年の正月は家族で過ごそうとする消費者が増えると予想している。
東北ショップは震災影響で苦戦
東北の老舗旅館が販売するおせちは、現時点で咋年を下回る販売個数だと言う。「東北にあるということで原発事故の影響も出ている
」(老舗旅館・ネットショップ担当者)と語る。風評被害があっても購入している顧客は、一度信頼関係を築いた既存顧客や旅館に足を運んでくれた顧客が多い。
おせちに使用する食材の生産地を確認するのに時間がかかり、商品内容の改善に着手する余裕もなかった。販売開始が例年より遅くなった影響も出ている。
5年連続で「おせち」部門の楽天グルメ大賞を受賞している博多久松(本社福岡県)の松田健吾店長も、「おせちへの問い合わせは今年、ほとんどが食材の産地に関するもの
」と言う。
同社では楽天市場でランキングに入賞した実績や、レビューの評価を紹介することで顧客からの信頼獲得を図っている。
「今年は例年よりも販売期間の最初と最後の販売が伸びそうだ。これは百貨店などリアルの販売傾向と似ている
」(同)と指摘する。
ネットでおせちを販売する事業者の競争相手はネットショップのみならず、実店舗との差別化も必要になりそうだ。
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オリジナル記事:ご当地おせち 売れ行きに地域差 北海道は前年の2倍、東北は苦戦 [日本ネット経済新聞ダイジェスト] | Web担当者Forum
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