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SiteCatalystよりも多面的&深くデータを掘り下げられる「Discover」がセッション越えユーザー単位分析「Cross-Visit」でさらに強力に/サミットレポート [イベント・セミナー] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 6.5

デジタルマーケティングに関する大規模イベント「アドビ デジタル マーケティング サミット」のレポート第2弾をお届けする(サミット関連の他の記事は「Adobe Digital Marketing Summit 2012」タグでチェック)。
今回は、SiteCatalystよりもさらに深くデータを分析できるデータマイニングツール「Discover」についてのレポートで、データ分析上級者向けの濃い内容になっている。

※筆者はアドビ システムズ社の招待を受けてこのイベントに参加していることを開示しておく。ただし、招待がなくても参加する意志があったことを付け加えておく。

上位版の行動データ分析ツール「Discover」

サミット開催中には、統合スイートである「Adobe Digital Marketing Suite」のなかでオンライン行動データ分析ツールの上位版である「Adobe Discover(ディスカバー)」のメジャーバージョンアップが発表され、新機能「Cross-Visit」に注目が集まっていた。

サミット会場でアメリカの企業担当者と話をしていても、Discoverは当然のように利用されており、中にはWebアナリストだけでなく担当副社長が自ら利用している企業もあるほどだ。

Discoverの製品デモブースに集まる人々

今回のバージョンアップではユーザーインターフェイスも一新されている。これまでのオムニチュア製品としてのDiscoverからアドビ製品として新しく生まれ変わったといってもいいだろう。日本語のローカライズも進んでおり、4月下旬には世界で同時にリリースされる予定である。

リリースに先立ち、カスタマー・アナリティクスのグループプロダクトマネージャーであるティム・ロット氏とシニアソフトウェアエンジニアであるカイル・スミス氏にDiscover 3.0の新機能について話を伺った。

ロット氏(左)とスミス氏(右)

まず、インターフェイスだが、従来のものからAdobe Insightのような色調に変わっている。これはSiteCatalystとは異なり「Discoverでは長時間使用することが多い点を踏まえ、目への負担を軽減するための配慮」だという。

ただし、メニューやワークスペースなどのレイアウトはほぼ従来通りであり、現バージョンを利用しているユーザーも、とまどうことなく使い始めることができるようになっている。

現バージョンのDiscoverのインターフェイス
新バージョン(Discover 3.0)のインターフェイス

SiteCatalystよりも多面的にクロス&ドリルダウンできるDiscover

Discoverの新機能を紹介する前に、DiscoverとSiteCatalystとの違いについて簡単に触れておこう。

SiteCatalystではバージョン15からセグメントの作成や変数同士のクロス分析がデフォルトで可能になっている。これにより、Discoverをご存知ない方には両ツールの違いがわかりにくいかもしれない。

SiteCatalystでもクロス分析が可能ではあるが、2つの変数に限定されているため多面的にデータを把握するのには向いていない。一方Discoverでは、複数のデータを自由にクロスしてドリルダウンできる。これにより、たとえば、

B2Bサイトで特定の商材の資料請求を行ったユーザーに絞り込んだうえで、
それらのユーザーが
・いつ(時間帯も含め)
・どこから(どのようなキーワードで)
・どのページに流入し・
・何を閲覧したうえで
・最終的にどこから離脱しているのか
・トータルでどの程度サイトに滞在していたのか
・何回目の訪問であったのか

といった一連の流れをドリルダウンしながら簡単に調べられる。さらに会員IDなどで特定したうえで、資料請求時だけでなく過去における一連の訪問についても同様のデータを抽出し、資料請求にいたるまでの流れを把握することも可能だ。

この他にも、各会員の属性データ(業種業態、年商、役職など)と組み合わせることで、対象セグメントに限定した行動データを抽出したり、過去に資料請求した商材をもとに商材同士の関連性を属性別に見たりといった用途にも使える。

ECサイトであれば、検索キーワードのランクレポートに初回訪問者、複数回目の訪問者、購入者といった各セグメントを横並びで表示し、それぞれのセグメントにおける各キーワードの利用割合を比較することで、たとえば「初回訪問では周辺キーワードの割合が多く、来訪回数が増えるにつれ社名やブランド名での割合が増加している」といった傾向も俯瞰してみることができる。

また同様にECサイトで、ユーザーレベルでのセグメントを適用したうえで、特集ページで掲載している商品ごとに会員ランク別の購入金額を並列することで、トータルでの商品売上に対する特集ページの販売効果を会員ランク別に見ることもできる。

SiteCatalystでは、資料請求や会員登録、申し込みなどの指標となる対象を「event変数」であらかじめ設定しておく必要があるが、Discoverでは(条件にもよるが)セグメント機能を利用して後から指標として追加し、過去にさかのぼって効果を確認することも手軽にできる。

主要なKPIでない限り、事前に見るべきデータをすべて設定しておくというのは現実的ではなく、データを調べているなかで新たな発見や気づきを得て、そこから別の切り口で見る必要がでてくるというのが一般的だろう。Discoverでは、このように後からデータを多面的に、そしてその場で分析できる点が大きな強みだ。

・新機能「Cross-Visit」でセッションを越えた分析を
・ワークスペース内に複数セグメントを適用
などを画面でわかりやすく解説

新機能「Cross-Visit」でセッションを越えた分析を

Discover 3に新しく追加された「Cross-Visit」とは、その名の通り、セッション(Visit)を越えた一連の訪問をユーザー単位で分析する機能だ。

バージョンアップで大きく変わったのが、「フォールアウトレポート」だろう。

従来のフォールアウトを設定できるのは、「ページ」「サイトセクション」「prop」などのトラフィック変数のみで、しかもそれらの個々の変数の中でしかフォールアウトを設定することができなかった。しかし、新バージョンでは、「マーケティングチャネル」「ページ」「サイトセクション」「prop」「eVar」「event」など異なる変数同士をさまざまな形で組み合わせることができる。設定の自由度が格段に広がっているのだ。

たとえば、下図を見てほしい。この図は、「ソーシャルメディアから流入し、サイト内検索を行った後、子供・おもちゃのカテゴリへ遷移、商品購入に至る一連のフロー」を示している。左側が従来のvisit(訪問単位)であり、右側が今回から新しく追加されたvisitor(ユーザー単位)となっている。

図でわかるように、訪問単位(左側)では購入件数は0件となっているが、ユーザー単位(右側)で見てみると指定した期間においてソーシャルメディア経由の来訪から29件の購買に結びついていることがわかる。

このようにプルダウンで、訪問(visit)とユーザー(visitor)の単位をすぐに切り替えられるだけでなく、2つのレポートを画面上に並べて表示することで差異を簡単に把握できるようになっている。

このような自由度の拡張とvisitor単位での分析機能は、フォールアウトレポートだけでなく、サイト分析にも実装されている。

現バージョンのサイト分析はあくまでも、「訪問中におけるサイト内の行動を対象に、『X軸』『Y軸』『シリンダーの幅』『高さ』『色』といった5つの次元でコンテンツ間の関連性を可視化する」、といったものだが、今回のバージョンアップで、「マーケティングチャネル」「ページ」「event」などをサイト分析1つのキャンバス内に取り込むことが可能になった。これにより、「ソーシャルメディア」「Eメール」「自然検索」「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「他サイト」などのさまざまなチャネルと、サイト内での行動、とりわけコンバージョンポイントとを結び付けて、それぞれの前後関係や量的関係をも把握できるようになっている。

ジェネラルセッションでは、このようなチャネル間の関係図に対して、さらに男性と女性というセグメントを適用することで性別によるチャネル接触の差異を、「購入件数」「1人当たりの累計購入金額」という視点から俯瞰するデモが紹介されていた。

左が女性、右が男性

この他に、event変数のパーティシペーションにもvisitorレベルの指標が追加されたことで、従来であればセッション単位でしかコンバージョンに対する貢献を把握できなかったのに対し、流入元と間接効果と直接効果を含めたトータルの効果も評価できるようになっている。

ワークスペース内に複数セグメントを適用

Cross-Visit関連以外では、ワークスペース内に複数のセグメントを適用できるようになっている点も大きな特徴といえるだろう。

たとえば下図では、①「モバイル」で、かつ、②「リスティング広告から来たユーザー層」に絞り込んだうえで、「流入元別」に、③「ロイヤル訪問者と初回訪問者」という2つのセグメントに関する検索数と購入件数を示している。

このように計3箇所でセグメントを設定し、さらに3つ目の箇所には複数適用することで、同一の指標に対するセグメントごとの差異を把握できるのだ。従来でも①と③のセグメント設定は可能であったが、②の機能が追加されたことで、より柔軟なセグメンテーションができるようになっている。

また、主要指標の期間ごとの推移もテーブル形式で表示できるようになっている。

下図は、初回訪問者における4半期ごとの売上を商品別に示したものである。

セグメントの編集もより簡単にできるようになっている。Discover利用者は決まったデータを見るのではなく、その都度切り口を変えながらさまざまなセグメントを作成することが多いだろう。そうした利用者にとって、Discover 3では作業効率が大幅に高まっている。

たとえば、現バージョンではセグメントの単位をVisitレベルからVisitorレベルへ変更する際には一から作成しなおす必要がある。しかし前述のように、今回の機能拡張によりプルダウンから選択するだけでレベル変更ができるようになっているといった点は大きい。

また、セグメントの条件式を一画面内で確認できるようになった点も、細かいながらも利用者に配慮された仕様だ。

プルダウンから選択するだけでレベル変更、セグメントの条件式を一画面内で確認できるようになった。
◇◇◇

以上、Discover 3.0の主な新機能を紹介したが、今後も別途紹介する予測マーケティングの機能拡張の一環として、クラスター分析などさまざまな機能の追加が予定されているとのことだ。

中島 直樹(なかじま・なおき)

ネットイヤーグループ株式会社
アナリティクス&オプティマイゼーショングループ アナリティクスチーム

2008年よりネットイヤーグループに参画。SiteCatalystのほか、GoogleアナリティクスやWebTrendsなどのエンタープライズ分析ソリューションを用いて、コーポレートサイトやECサイトにおけるユーザーセグメント別行動分析、キャンペーンサイトにおける効果検証などによるWebマーケティング支援やコンサルティングを手がける。

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