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コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。
宮脇 睦(有限会社アズモード)
もはや便所の落書きではない
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いわばオールドメディアの代表ともいえる全国紙の産経新聞が、2012年3月7日の朝刊一面で伝えたのが、
ネットのネガティブ情報だから大袈裟にとりあげられた、という声もありますが、「ネット対オールドメディア」という対立構造で見るのはナンセンス。産経新聞の記事を読めば、捜査当局が「影響力」を認めて「強制捜査」に乗りだしたことがわかります。つまり「2ちゃんねる」の掲載情報は、信憑性がなく、社会に与える影響も皆無に等しい「便所の落書き」ではない(だけではない)と認めたということです。
そしてWeb担当者も注意が必要です。あらかじめ断っておきますが「捜査」の段階であり、2ちゃんねるを黒と断じるものでも、白と擁護する立場にも私は立っていません。
1001回のスルーの解釈
強制捜査の理由は、2ちゃんねるにあった覚せい剤の購入をあおる書き込みを、警察当局からの再三の削除要請にも従わずに放置していたのではないかという疑いです。読売新聞の続報によれば、当局がネット掲示板などへの違法行為に関する書き込みを見つけると、管理者に「通報」し削除を求めます。2011年上半期だけで約2000件の通報を行い、そのうち1001件が2ちゃんねるで、大半が「スルー(無視)」されていたとあります。
全体を“約”2000件としながら、2ちゃんねるを1件単位で把握している不思議な記事ですが、平均して毎日2件以上の通報が無視されているとしたら、警察が強制力を行使するのも致し方ない気もします。問題は意図的に「スルー(無視)」したのか、運営上の欠陥による「過失」だったのか。後者の場合の罪の有無に注目しています。
法理の序列
報道を受けて「言論弾圧」という意見もネットで散見しましたが、「言論の自由」とはすべてに優先されるものではありません。憲法や法律は先に掲げられている条文が優先され、いわゆる「言論の自由」は憲法の第3章の第21条にありますが、同じく第3章の第12条において
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ
と、自由のための努力を求め、濫用を戒め、公共性を説いています。そこからみれば、覚醒剤の販売が守られるべき「表現」かの答えは明白です。だいいち警察当局も「憲法」には慎重で、「通報」により自主的な削除を求めていたという前提があります。
問題はどこにあるのか
こういった意見もありました。
自宅の壁に“覚せい剤売ります”と落書きされたら、消さないと罪に問われるのか(筆者意訳)
一般論で答えるなら「Yes」。実際に逮捕されることは希でしょうが、壁の外側は公(おおやけ)に属する部分で、所有者の責任が求められます。そもそも他人の所有物である壁への「落書き」は器物損壊にあたります。この主張をするなら落書きされたという「犯罪被害の救済について」から議論すべきでしょうし、そもそも「ご近所の目」を考えれば、消さないという選択肢は現実的ではありません。
もっとも、これこそがWeb担当者に関係するところです。当局やネット掲示板、およびネットという環境は「公(おおやけ)」として強制捜査となりました。そこから2ちゃんねるの事例に注目するのは、ブログのコメント欄や掲示板の管理を「うっかり放置」した場合の過失が罪に問われるかという点です。
一面の重み
一連の動きを見ると「通報」してから経過観察しているようなので、掲示板に違法行為が書き込まれたからと突然「ガサいれ(強制捜査)」されることはありませんが、使っていない掲示板は閉鎖するか、新規の書き込みをできないようにし、更新の滞っているブログのコメント欄は制限するのが望ましいでしょう。これらはリスクの発生源だからです。もちろん、活用していないFacebookページなども同様です。
数年前に掲示板を設置したまま放置していたサイトは、毎日15,000を越えるスパム書き込みから、サーバー容量が限界を越え、各種動作に支障をきたしていました。
新聞のニュースバリューは掲載場所と面積に現れます。一面は文字通り「トップニュース」で、2ちゃんねるを報じた産経新聞では右肩の正真正銘の「トップ」にあり、テレビが後追いする形で、次々と報じました。これを見た、ある新聞関係者は「痛快」とコメント。いちはやく「iPhone」への記事の配信をはじめ、昨年まで「Web面」を掲載していた産経新聞の面目躍如といったところでしょうか。
2ちゃんねるのなくなる日
強制捜査を産経新聞が報じた2日後に掲載された、本サイトの連載『ソーシャルメディア白書2012』の第1回「2ちゃんねるの認知度を超えたTwitterとFacebook」がネットで話題となっていました。しかし、記事にもあるように認知度と利用度は別で、Twitterの利用率は3割未満に過ぎず、認知度だけで「2ちゃんねるは終わった」とするのは強引でしょう。また、2ちゃんねるでいえば、アフェリエイト狙いで乱立する「まとめサイト」の閲覧数までカウントすれば、影響力はまだまだ健在とみています。
しかし、2ちゃんねるがなくなる日は早晩訪れます。それはサイトに由来するものではなく、テレビ放送の地デジ移行にともない、かつて「3ちゃんねる」とも呼ばれた「Eテレ(旧NHK教育テレビ)」が「2ちゃんねる」になったからです。いま「おかあさんといっしょ」を見ている世代が社会に出るころには、「2ちゃんねる」とは、健全なコンテンツの多い「Eテレ」を指すようになっていることでしょう。
そしてこれは「ちゃんねる」をめぐる栄枯盛衰の歴史に繰り返しです。かつて「2ちゃんねる」とは「ファミコン」に代表される家庭用ゲーム機の専用チャンネルだったのですから。そして私がはじめて見たコンピュータ画面も「2ちゃんねる」。それは「PC6001」をつないだブラウン管テレビでした。
今回のポイント
2ちゃんがオールドメディアの一面になる時代
ネット掲載情報への責任を再確認する
- コーナー:企業ホームページ運営の心得
- 内容カテゴリ:Web担当者/仕事
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:2ちゃんねるがなくなる日と、Webサイト棚卸のすすめ [企業ホームページ運営の心得] | Web担当者Forum
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