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プロファイルに基本的なフィルタをかける[第6回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 5.5

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

今回は、新規に作成したプロファイルに「フィルタ」をかける設定をしてみよう。フィルタとは、該当のプロファイルの元データを、集計する前にあらかじめ加工処理しておくための設定だ。自社社員のアクセスを集計データから除外したい場合などに利用できる。

まずは、第2回2ページ目の操作手順に従って、「プロファイルA」を開こう。

※読者の環境では別のプロファイル名かもしれないので、自分が作ったプロファイルを選ぼう。大元のデータを使うプロファイルではなく、データを加工して使うために作成した新しいプロファイルを開くこと(詳細は第2回を参照)。

フィルタの設定画面を開く

メニュータブの右から2つ目の「フィルタ」(図1赤枠部分)をクリックすると、フィルタの設定画面が表示される(図1)。

図1:プロファイルのフィルタタブを選択した画面
図1:プロファイルの「フィルタ」タブを選択した画面

当たり前だが、最初はフィルタには何も設定されていない。新しくフィルタを設定するには、「+新しいフィルタ」(図1青枠部分)をクリックする。そうすると、「プロファイルにフィルタを追加」という画面が表示される(図2)。

図2:「プロファイルにフィルタを追加」画面
図2:「プロファイルにフィルタを追加」画面

一般的によく使われるフィルタが「既定のフィルタ」(図2赤枠部分)として登録されている。既定のフィルタには、

  • ドメインからのトラフィック
  • IPアドレスからのトラフィック
  • サブディレクトリへのトラフィック

の3種類がある。フィルタを一から自分で設定することもできるが(カスタムフィルタ)、初級者はまず、この既定のフィルタをいくつか試してみるところから始めることをお勧めしたい。順番に説明していこう。

  • 「ドメインからのトラフィック」フィルタの設定方法

「ドメインからのトラフィック」フィルタの設定方法

「プロファイルにフィルタを追加」画面で「既定のフィルタ」(図2赤枠部分)を選択すると、プルダウン(図2青枠部分)で最初に表示されているのが、「ドメインからのトラフィック」だ。

このフィルタの目的

「ドメインからのトラフィック」フィルタは、計測対象サイトに訪問してくるユーザーの所属するネットワーク(インターネットプロバイダや企業ネットワーク)がどのドメイン名に所属しているかを判断して、その情報によってアクセス情報を除外したり絞り込んだりするフィルタだ。

たとえば、自社のサイトには、自社社員も頻繁に訪問する。しかし自社社員の訪問は、アクセス解析をおこなう上では意味のない訪問なので、できるだけ集計からは除外したいところだ。そんな場合に使うのが、「ドメインからのトラフィック」フィルタだ。

Googleアナリティクスでは、IPアドレスの逆引きをしてユーザーのドメイン名を検出する。大企業の場合は、その企業のドメイン名にIPアドレスがマップされている。つまり社員が自社のドメイン名に所属するIPアドレスから利用したトラフィックを除くことになる。

このフィルタの設定方法

例として、「example.jp」というドメイン名のネットワークからの訪問を除外したい場合の設定方法を説明しよう。

図2:「プロファイルにフィルタを追加」画面
図2(再掲):「プロファイルにフィルタを追加」画面
  • 「フィルタ名」には、わかりやすいフィルタの名前を入力しよう。今回の「自社ドメインからの利用を除く」とする(図2紫枠部分)。
  • 「ドメイン」には、フィルタの対象となるネットワークのドメイン名を入力する(図2黄枠部分)。例では「example.jp」と示しているが、たとえばインプレスグループならば「impress.co.jp」になる(サイトのURLではないので「www.」は含めてはいけない)。
  • 左側のプルダウン図2緑枠部分)は、「除外」と「右のみを含む」の2つから、どちらかを選べるが、今回は「example.jp」を含む訪問データを除外したいので「除外」を選択する。逆に、特定のドメイン名のネットワークからの訪問だけに絞り込んで集計したいときは、「右のみを含む」を選択することになる。
  • 右側のプルダウン図2黒枠部分)は、「等しい」「前方が一致」「最後が一致」「次を含む」の4つから選択できる。今回は「等しい」を選択する。

以上の設定をおこなって保存すると、フィルタ管理画面に戻り(図3)、新たに設定したフィルタの行が加わる(図3赤枠部分)。

図3:フィルタを1つ作成した画面
図3:フィルタを1つ作成した画面

設定したフィルタの内容を確認したり修正したりする際には、フィルタ名(図3赤枠部分)をクリックすると、フィルタ設定の編集画面に戻る。

このフィルタを削除するには、右側にある「削除」ボタン(図3青枠部分)をクリックする。削除確認画面が出てくるので、そこで「フィルタを削除」ボタンをクリックすることで削除される。

大企業のようにドメイン名にIPアドレスがマップされていない場合でも、サイトの関係者が特定のIPアドレスから訪問していることが分かっているような場合は、次に説明する「IPアドレスからのトラフィック」フィルタの出番だ。

  • 「IPアドレスからのトラフィック」フィルタの設定方法

「IPアドレスからのトラフィック」フィルタの設定方法

このフィルタの目的

「IPアドレスからのトラフィック」フィルタは、計測対象サイトに訪問してくるユーザーのIPアドレスによってアクセス情報を除外したり絞り込んだりするフィルタだ。

「ドメインからのトラフィック」フィルタと同様に、自社社員の訪問をアクセス解析から除外する場合に使える。自社社員がインターネットにアクセスする際に利用するIPアドレスが定まっている場合に便利だ。

このフィルタの設定方法

「IPアドレスからのトラフィック」フィルタを設定するには、先ほど同様、フィルタ管理画面(図3)で、「+新しいフィルタ」(図3緑枠部分)をクリックして、「プロファイルにフィルタを追加」画面を表示する(図4)。

そして、既定のフィルタ(図4赤枠部分)を選択し、「IPアドレスからのトラフィック」(図4青枠部分)をプルダウンで選択する。

図4:「IPアドレスからのトラフィック」フィルタ
図4:「IPアドレスからのトラフィック」フィルタ

例として、「74.125.19.103」というIPアドレスからの訪問を除外したい場合の設定方法を説明しよう(たとえば自分のIPアドレスを除外したい場合、このサイトなどでIPアドレスを確認できる)。

  • 上部の「フィルタ名」図4紫枠部分)には「IP除外を適用」と入力する。
  • 左側のプルダウン図4緑枠部分)は、「除外」と「右のみを含む」の二者択一だが、今回は「除外」を選択する。
  • 右側のプルダウン図4黒枠部分)は、「等しい」「前方が一致」「最後が一致」「次を含む」の4つから選択できる。ここでは「等しい」を選択する。
  • 中央下部の「IPアドレス」図4黄枠部分)には、「 . 」(ピリオド)で区切られたIPアドレスの4つの数字をそれぞれ指定する。

以上の入力を終えたら、左下の[保存]をクリックする。

この「IPアドレスからのトラフィック」フィルタでは、正規表現では記述できないので、IPアドレスを範囲で指定したい場合は、より汎用的な指定が可能なカスタムフィルタを使う必要がある。カスタムフィルタの設定方法については、それは高度なフィルタを説明する別項で扱う予定だ。

  • 「サブディレクトリへのトラフィック」フィルタの設定方法

「サブディレクトリへのトラフィック」フィルタの設定方法

このフィルタの目的

「プロパティ」のレベルで収集する大元のデータは、通常はドメイン名全体を対象に収集しておく。しかし、会社の部門ごとにWebサイトのディレクトリが分かれているような場合に、それぞれの部門に所属している社員には、自分の部門だけのデータしか見せないようにしたいことがある。そのようなときに使うのが、この「サブディレクトリへのトラフィック」フィルタである。

たとえば、営業部門管轄のコンテンツのディレクトリが「/sales/」、広告宣伝部管轄のコンテンツが「/pr/」となっているとして、営業部員には「/sales/」のアクセス解析データだけを見せるようにしたい場合の設定を説明しよう。

このフィルタの設定方法

「プロファイルにフィルタを追加」画面で、「サブディレクトリへのトラフィック」(図5青枠部分)をプルダウンで選択すると、図5のような画面表示になる。

図5:「サブディレクトリへのトラフィック」フィルタ
図5:「サブディレクトリへのトラフィック」フィルタ
  • 上部の「フィルタ名」図5紫枠部分)には「営業部」と入力する。
  • 中央下部の「サブディレクトリ」図5黄枠部分)には「/sales/」と入力する。この「サブディレクトリ」の右側に記述するテキストは「/sales/」とか「/pr/」などというように、スラッシュ(/)でディレクトリ名を囲む形になる。
  • 左側のプルダウン図5緑枠部分)は、「/sales/」以下のコンテンツへの訪問だけに絞り込みたいので、「右のみを含む」を選択する。
  • 右側のプルダウン図5黒枠部分)は「前方が一致」を選択する。

[保存]をクリックすれば、設定が保存され、新しいフィルタが作成される。

もちろん、こういった利用形態であれば、部門の数だけのプロファイルを作り、プロファイルごとに同様のフィルタを設定する必要がある。

◇◇◇

以上「ドメインからのトラフィック」「IPアドレスからのトラフィック」「サブディレクトリへのトラフィック」の3つの既定フィルタを説明してきたが。最後に、フィルタに関する注意点を1つ。

フィルタを設定したプロファイルでは、以後、フィルタによって加工されたデータをもとに集計されることになるのだが、フィルタが適用されるのは、フィルタを設定した後から計測されたデータだけだ。

フィルタを設定しても、設定以前にさかのぼってデータが加工されるわけではない。

集計し始めてから途中でフィルタを設定すると、集計範囲が変わってしまうので、トレンドを見る場合には注意が必要だ。フィルタは、できるだけ集計し始めのうちに設定しておこう。

繰り返しになるが、フィルタを適用する場合は、メインのプロファイルではなく、メインのプロファイルとは別に作った加工用のプロファイルを使うようにしてほしい。メインのプロファイルにフィルタをかけてしまうと、何かミスがあったときにその期間のデータが使い物にならなくなってしまうからだ。

データをフィルタで加工して使うために新しいプロファイルを作る手順は第2回を参照してほしい。

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衣袋 宏美

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

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