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企業の文脈にユーザーを押し込めるのはNG。コンテキストを意識したウェブKPIを ~アクティブコアのユーザー会に潜入! [編集長ブログ―安田英久] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 7 分

アクセス解析やLPO、レコメンドなどのツールを提供するアクティブコアは、同社のツールを利用しているユーザーを対象としたユーザー会を2月9日に開催した。「KPI」というテーマで開催された同社のユーザー会に潜入してきたので、その様子をレポートする。

今回で3回目となる同社のユーザー会の全体タイトルは「ウェブKPIについて語ろう」。会場となった新橋の第一ホテル東京には、同社のユーザー約90名が参加した。

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ユーザー会は、アクセス解析やWebサイト運営に関するセミナーと懇親会の2部構成。第1部として開催されたセミナーは、次のようなプログラムで進められた。

  • ページビュー至上主義の終焉?
    ~コンテキストを意識した効果的なウェブKPIについて
  • サイト訪問者をセグメント化して、成果に繋げる手法
    ~アクティブコア 新ソリューション・リリース計画
  • ウェブKPIについて語ろう!(パネルディスカッション)

各セッションについて、ポイントを絞ってレポートしていこう。

ページビュー至上主義の終焉?
~コンテキストを意識した効果的なウェブKPIについて

講師: 増井 達巳 氏
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社 コミュニケーション本部 ウェブマネジメントセンター センター長)
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基調講演として登壇したのは、ご存じキヤノンマーケティングジャパンの増井氏。「ページビュー至上主義の終焉?」というメッセージから、企業サイトをどうとらえ、どのように評価指標を定めていくべきかの考え方を、「コンテキスト」という切り口を中心に説明していった。

以前は企業サイトというと「検索エンジンから自社サイトに集め、そこでコンバージョンしてもらう」というストーリーで考えられていたが、ソーシャルメディアやスマートフォンなどによる環境の変化で、企業側の想定する枠組みにとどまらない生活者の動きが増えてきている。

そうした状況では、すでに生活者と企業の関係が変わってきており、「エンゲージメント」という言葉で示されるような、顧客主導のマーケティングの重要性が高まってきている。

顧客主導のマーケティングにおいて重要なのは、顧客が主語となる文脈(コンテキスト)。それを企業が主語となるものにねじ曲げてしまわないことが大切」だと語る増井氏は、企業の考えた文脈にユーザーを合わせる(押し込めようとする)のは間違いだと指摘する。スイッチングコストが高くなる仕組みで自社の製品を使い続けてもらうように囲い込むという発想ではなく、さりげないキズナづくりの視点という考え方を含めていくべきだと述べた。

そのうえで、KPIについて説明する増井氏が最初に説明したのが、「経営層がWebサイトに期待することは何か」という点。企業Webサイトという場において、経営層の理解を得ることは重要だ。現場のためのKPIはもちろん重要なのだが、まず、経営サイドがどんなことをWebサイトに期待するかを解説した。

その観点では、自社サイトで定義している3つの価値要素「機会」「保証」「共感」を説明したうえで、それ以外に経営サイドへの説明資料として使いやすい指標として、日本ブランド戦略研究所の算出による「Webサイト価値」や、「のべ接客人分」を表すepm、BtoBサイトの売上貢献度などを紹介した。

自社はどんな企業か? コンテキストは?

企業Webサイトでどんな価値を提供できるのかを考えるためには、「そもそも自社はどんな企業か」を見極めることが必要だ。

自社のこと、商材、顧客を分析していく切り口を紹介した増井氏は、「世の中でいわれる“標準のKPI”にとらわれるのは、まったく意味がない。今自分たちが何をできているのか、そしてステップアップするにはどんな情報が必要なのかによってKPIは変わってくる」のだという。

アクセス解析の具体的な部分としては、

  • 本当に必要ではない指標は、あえて気にしない
  • コンバージョンは、「誰にどうなってほしいのか」から考えて設定する
  • 最終ゴールよりも、その手前で複数のコンバージョンを設定して長期で追う

といったコツを示したうえで、スコアリングや分析を自動化していくことの重要性を説明した。

コンセプトダイアグラムで考えるコンテキストとKPI

そのうえで、KGIやKPIの設定の前段階として、コンセプトダイアグラムという手法を使って情報を整理するやり方を紹介した。

コンセプトダイアグラムでは、「誰に何をしてほしいのか」をビジュアルに整理していく手法。ゴールやその手前の過程でユーザーがどんなニーズやモチベーションをもってどんな行動をするのかを図で書き、それぞれの行動に対してサイトで提供する機能を当てはめていくことで、最終的なゴールに至る手前のそれぞれの過程でどんなKPIを設定してくのがいいのかが決めやすくなるのだという。

ゴールが何であり達成できているかどうかがKGI(ゴール達成度、結果)であり、そのゴールを達成するために必要な中間指標としてKPIを定め、そのKPIの要因を分解していくことで、KPIの変動に応じて「アクションできる」、意味のあるKPIを定められるのである。

そうした一連の流れを考えるのに、コンセプトダイアグラムは使いやすい手法だ。

単なるアクセス解析データとしてのKPIではなく、自社の状態やポジション、商材の性質、顧客のニーズや行動といった「コンテキストを意識する」ことで、さらに効果的なKPIとなっていく。その考え方や方法論を解説したセッションだった。

  • サイト訪問者をセグメント化して、成果に繋げる手法
  • ウェブKPIについて語ろう!

サイト訪問者をセグメント化して、成果に繋げる手法
~アクティブコア 新ソリューション・リリース計画

講師: 山田 賢治 氏(株式会社アクティブコア 代表取締役)
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続いて登壇したアクティブコアの代表である山田氏は、同社の全製品のエンジン設計や開発を担当する技術者でもある。その山田氏が、同社のサービスについて、過去1年のアップデート情報や今後の動きを含めて解説するとともに、「セグメント化」をキーワードにノウハウを解説した。

アクティブコアの主力製品は、次の3つ。それぞれの製品について、2011年にどんな機能を実装したか、アップデートしたかを解説した。

  • エーシークルーザー(アクセス解析・広告効果測定)
  • アドインサイト(行動ターゲティングLPO)
  • エーシープロポーザ(レコメンドASP)

Facebookページ対応やスマートフォン対応といった環境の変化に対応したアップデート内容や、Web担当者がより使いやすく業務に活用できるようにするためのアップデートなど数十項目が2011年に実装されている。

そして、セッションの本題「サイト訪問者のセグメントとは?」に入る。

そもそもセグメントとは、「全体を分割したうちの1つ」という意味で、マーケティング分野では顧客(ターゲット)を属性ごとに区分した分類を指す。

サイト訪問におけるユーザー行動は、認知 → 情報収集/比較検討 → 顧客化という流れをファネル(じょうご)型でとらえることが多い。しかし、実際のユーザー行動は1つのファネル型では表現できないものであり、ユーザーは認知・情報収集・顧客化のそれぞれのステップで何回もサイトを訪れており、各訪問にファネルがあるイメージで考えるべきだと山田氏は言う。

実際に、同社のもつデータによると、ECサイトでもBtoBサイトでも初回訪問でコンバージョンに至るのは約35%程度。何度もサイトを訪れた後にコンバージョンする傾向が見られる。

また山田氏は、同様に同社のもつデータから、「新規訪問者とリピート訪問者」やECの「会員と非会員」でセグメント分けしてみると直帰率や平均滞在時間が大きく異なる状況を示し、サイト全体でこうしたデータを見た場合と姿が違って見えてくることを示した。

セグメント分けのパターンとしては、次のような例が紹介された。

  • ECサイト: 非会員(新規顧客) vs 会員(リピーター)
  • B2Bサイト: 新規(認知) vs 比較検討 vs 既存顧客
  • コーポレートサイト/ブランドサイト: 認知がない vs ブランド認知がある vs ファン

セグメント化のステップとしては、次のような進め方を提案。

  1. 自社の訪問者の傾向を理解する。
  2. 重要な指標とアクションを洗い出す。
  3. コンバージョンに貢献する訪問者の行動を分析する。
  4. 訪問者をセグメント化して計測項目を決定する。
  5. 効果を検証し改善する。

コンバージョンに貢献するユーザー行動を見つけてそのアクションからセグメントを作成する方法や、機会損失セグメント(コンバージョン手前の行動はしたがコンバージョンには至らなかったパターン)を見つける方法を解説した山田氏は、「KPIを定める際には、全体平均でのデータで見るだけでなく、“セグメント+指標”で見るKPIも定める」ことの価値を強調した。

山田氏によると、同社のアクセス解析ツール「エーシークルーザー」では、次期バージョンで、自由にセグメントを作り、そのセグメントに限定してデータを確認したり分析したりする機能を搭載予定だという。また、そうしたセグメントは、同社の行動ターゲティングLPOツール「アドインサイト」やレコメンドツール「エーシープロポーザ」でも利用できるとして、活用する際のセグメントの組み合わせ方などの具体例を示した。

パネルディスカッション「ウェブKPIについて語ろう!」

  • パネリスト:
    • 君野太郎氏(サントリーホールディングス株式会社 広報部 デジタルコミュニケーション開発部)
    • 福士哲司氏(キヤノンマーケティングジャパン株式会社 コミュニケーション本部 ウェブマネジメントセンター コンテンツマネジメントグループ)
    • 松谷彰子氏(株式会社阪急交通社 企画統括本部 営業企画部 ウェブ戦略課 係長)
  • 進行: 安藤洋介氏(株式会社アクティブコア シニアコンサルタント)
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続いてのセッションは、パネルディスカッション。サントリー、キヤノン、阪急交通社のそれぞれで、KPIをどのようにとらえているのか、具体的にどんなデータを見ているのかといったことについて各社が話した。

「KPIという表現で指標について明確に語ることは少ない」「事業部のWeb担当者と話していると、どういったマーケティング効果を求めるのかの目的定義がなされていない場合も意外にある」といったように、控えめに自己紹介をした各社だが、実際に現場で見ている指標の話になると、さまざまなデータをかなり詳しく見て分析していることがわかる。

広告では「特定のポータルサイトに出稿した広告からの最終的なコンバージョン・離脱・CPA」を担当者がかなり細かく見て広告予算配分を調整していたり、費用が発生しないメルマガでも購買に紐尽くプロセスとして細かくブレイクダウンし、「購読解除、開封数、クリック数、コンバージョン率、どの商品が売れたか、収益にどう反映したか」などを調べていたりといった様子だ。

また、ユーザー中心のセグメント分けによるマーケティング手法として興味深い例も示された。実際に購入しているユーザーへの調査結果を製品別・用途別にクロス分析することで選び方・購入ポイント・評価ポイントを多面的に分析し、それによって見えてきた「どんな用途で製品をどう利用しているのかの具体的なイメージ」から顧客をセグメント分けして、そのセグメントを広告クリエイティブに反映したり、コミュニケーションのシナリオを作ったりといったこともしているという事例だ。

取得できるデータからは見えてこない価値に関する悩みなども語られた。広告も種類によっては、単純な費用対効果だけを見ると悪く見えるものがある。しかし、単純な数値には表れない価値があると信じて活用している担当者としては、経営層にその「現時点で取得できる数値には表れてこない価値(貢献価値)」をどう伝えるのかが難しい場合があるのだという。

◇◇◇

セミナー終了後は、会場を移しての懇親会。「コア会」と名付けられたこの懇親会では、アクティブコアのスタッフがユーザー企業のなかに入りコミュニケーションした。

会場では、ユーザー企業との窓口となる営業スタッフはもちろん、代表の山田氏が積極的に各社の話を聞いていたほか、顧客サポートのスタッフも参加しており、企業のWeb担当者と「いつもメールでやりとりしていますが、お会いするのは初めてですね」といったコミュニケーションが広げられていた。

アクティブコアのツールは使いやすいという魅力があるが、ユーザー企業の1社に聞いたところ、同社ツールの魅力として「実現したいことをリクエストすると、かなり積極的に実現してくれる」点を挙げていた。アクティブコアのツールは、ASPサービスであるにもかかわらず、個別企業のリクエストに対応してカスタマイズしていたり、他のユーザーにも価値があるものならば機能追加としたりといったことが頻繁に行われているのだという。

そうした顧客のニーズに応えようという姿勢がにじみ出ている懇親会だった。

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懇親会の会場では、アクティブコアの新人スタッフが、同社のイメージカラーである赤色のハッピを着て、盛り上げ役として活躍していた。
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