誰もが知っている有名サイトをエキスパートレビューしながら、「もし、アクセス解析するなら」どのポイントに着目するかを第三者的な視点から解説。アクセス解析を用いてサイトの改善を行うための仮説構築力を身につけて、自社サイト、クライアントサイトをアクセス解析する際に役立ててほしい。
毎週・木曜9時は「かってに解析!」。誰もが知っている有名サイトをかってに取り上げ、「もしもアクセス解析をするならば、どこに目をつけるか?」という視点で、サイトの問題点やチェックポイントにあたりをつける方法を解説していく。
今回は「ダイワハウス」を取り上げる。
「ダイワハウス」の正式名称は大和ハウス工業株式会社、大阪市に本社を置く大手住宅総合メーカーである。最近は、役所広司が出演するコミカルなCMが、よく話題になっている。「ダイワマン」「ダイワマンX」「ダイワニャン」のCMは、一度は見たことがあるのではないだろうか。また、今では当たり前になっているプレハブ住宅を、1959年に日本で初めて商品化したのは同社である(以下、カギ括弧付きで「ダイワハウス」と書くときには、会社自体ではなく、ダイワハウスのWebサイトを指す。他の会社も同様)。
今回と次回、2回にわたり、住宅総合メーカーであるダイワハウスのWebサイトを取り上げ、課題の抽出や考察を行うのだが、筆者は住宅建設や販売にかかわる各企業やサイトが直面している課題や戦略・戦術を十分に理解しているわけではない。あくまでもどのような点に着目したらよいのかを重視して読んでいってほしい。
「ダイワハウス」の閲覧シチュエーションを想定
今回のサイト利用シナリオは、住宅の建て替えを検討している人が、住宅メーカーの注文住宅を検討しようと考え、住宅展示場を見にいくための予約をするというものだ。
誰が | 住宅の建て替えを検討している人 |
---|---|
何の目的で | 住宅メーカーの注文住宅を検討 |
具体的には | 住宅メーカーの特徴を把握、住宅展示場見学の予約 |
「ダイワハウス」をエキスパートレビュー!
「Yahoo! JAPAN」で「注文住宅」と検索すると4位
まず「Yahoo! JAPAN」で「注文住宅」と検索すると、「ダイワハウス」は自然検索結果の4位に表示されていた(図1の青枠で囲んだ部分)。
上部の検索連動型広告のエリアである「スポンサードサーチ」が5件もあり、ファーストビューの多くの面積を占有している。
このときは、「ダイワハウス」以外の住宅メーカー系では、右の広告エリアに「パナホーム」や「積水ハウス」、上の広告エリアに「ヘーベルハウス」などが見受けられた(図1の赤枠で囲んだ部分)。自然検索結果のエリアでは4位に「ダイワハウス」がある(図1の青枠で囲んだ部分)。
「Google」で「注文住宅」と検索すると9位
「Google」で「注文住宅」と検索したところ、自然検索結果の9位に「ダイワハウス」が表示されていた(図2の青枠で囲んだ部分)。
やはり、「ダイワハウス」以外の住宅メーカーとしては、上部の検索連動型広告エリアには「パナホーム」、右の広告エリアには「ヘーベルハウス」や「積水ハウス」などが見受けられた(図2の赤枠で囲んだ部分)。「ダイワハウス」はどちらの検索サイトでも、検索連動型広告に「注文住宅」のキーワードでは出稿していないようだ。
また、「Yahoo! JAPAN」でも「Google」でも、検索結果のリンク先は、「ダイワハウス」の「注文住宅・建替え」カテゴリーのトップページになっている。
- 「注文住宅・建替え」カテゴリーのトップページを見てみる
「ダイワハウス」をエキスパートレビュー!(続き)
「注文住宅・建替え」カテゴリーのトップページを見てみる
それでは「ダイワハウス」の「注文住宅・建替え」のトップページ(図3)を見ていこう。
大和ハウス工業は住宅メーカーといっても、けっこう手広く事業展開されているようで、「注文住宅・建替え」のカテゴリーは、分譲マンション、賃貸住宅、リフォームといった様々なカテゴリーの中の1つとして、グローバルナビには存在している(図3上部の赤枠で囲んだ部分)。
「注文住宅・建替え」のトップページでは、グローバルナビでこの項目が選択されている状態で、
- 住宅商品情報
- 家づくりについて
- ダイワハウスの特長
- まちなかジーヴォ
- 家づくりのご相談
というサブメニューも表示されている(図3上部の青枠部分)。
また左上には「住まいを探す」という切り口でのナビゲーションになっていて(図3上部の緑枠部分)、項目は以下のとおりだ。
- 住宅商品で選ぶ
- 外観・内観で選ぶ
- 住まい方・テーマで選ぶ
メインビジュアルは現在のキャンペーン的な切り口での見せ方をしているものと思われる(ここは後でまた取り上げる)。
メインビジュアル下には、「ダイワハウスの家づくりについて」「ダイワハウスの住まい方提案」など「ダイワハウスの」という枕詞は共通なものの、じっくり読ませたい読み物系のコンテンツが4つのグループで並んでいる(図3上部の黄色枠で囲んだ部分)。ここまでがファーストビューだ。
その下は「住宅展示場を探す」などを中心とした地域の情報にリンクした見せ方をしようとしているようだ(図3中段の赤枠部分)。右側には、筆者の居住地である「神奈川県の展示場」が表示されている。IPアドレスなどから閲覧者の地域を判定して、見せるコンテンツを調整しているのだろうか。
その下には「お知らせ」が長く続き、一番下には再び「周辺の物件・展示場」のリンク(図3下段の緑枠で囲んだ部分)、フッターという構成になっている。「周辺の物件・展示場」の部分の説明書きには、「【神奈川県】の周辺物件を表示しています」との表記もあり、こちらも閲覧者の地域を判定して表示するコンテンツの調整をしているものと思われる。
一方、長く続く「お知らせ」(図3中段の青枠部分)は、ほとんどのユーザーはあまり見ることはないと思うので、少し冗長な感じを受けた。
全体として「注文住宅・建替え」のトップページは小ぎれいにまとまっていると思うが、全般的に小さめな文字には少し抵抗があった。個人的には右上にある[文字サイズを大きく]ボタンをクリックしてちょうどよい塩梅だ。このボタンをクリックすると、Webページの文字サイズが大きくなると同時に、ボタン自体は逆の[文字サイズを小さく]という表示に変化する。つまり、Webページの文字サイズは、2段階で変更できるようになっている。
まずは地震対策機能をチェックしたい
それでは目的に沿って、サイトを見ていくことにしたい。今住宅を建てるにあたっては、2011年3月に起こった東日本大震災があったことから、地震対策を考慮に入れざるを得ない。そこでまずは、地震対策はどのようになっているのかを見ておこう。
「注文住宅・建替え」トップページのメインビジュアル下部に、左から順に以下の4つのボタンが並んでいる。
- xevo03
- 太陽割キャンペーン
- xevoスマ・エコオリジナル
- 耐震・制震・免震
この4つのボタンのうち、[耐震・制震・免震]をクリックする。するとページ移動は起こらず、メインビジュアル部分だけが変化する。以下に再掲した図3は、じつは[耐震・制震・免震]を一度クリックした画面である。紫枠で囲んだ部分が変化した部分である。
メインビジュアルを複数のコンテンツで切り替えていく場合にはさまざまな表現方法があり、まだこれだというナビゲーションの決まりはない。ここでは、並んでいる4つのボタンをクリックしても直接そのコンテンツへは飛んでくれなかったので、少しとまどった。「耐震・制震・免震」のページへ移動するには、変化したメインビジュアル自体か、[耐震・制震・免震]のボタンをもう一度クリックしなければいけなかった。
- 「耐震・制震・免震」のページを見てみよう
「ダイワハウス」をエキスパートレビュー!(続き)
「耐震・制震・免震」のページを見てみよう
さて、その変化したメインビジュアルの方をクリックして飛んだ先が「耐震・制震・免震」のページだ(図4)。
右上には「カタログ請求はこちら」(図4の赤枠で囲んだ部分)のリンクがあり、さりげなくユーザーの個人情報の入手を試みようとしているのはうまい。
メインビジュアルでは、「耐震」「制震」「免震」という3つの地震対策が選べるということが書いてある。少々控え目で視認性が悪いが、[次へ]ボタン(図4の青枠で囲んだ部分)をクリックして、次のページを表示させると、図5のようにメインビジュアル部分だけ新しいコンテンツに変わる。図5の赤枠で囲んだ部分の表示が変わるだけで、URLの変化はない。
ここまで見てくると、文字が多い部分の視認性が悪いことが際立ってくる。文章などテキストのコントラストが低く、薄くて読みにくいのだ。そのため、ボタンやリンクなども同様に判別しにくくなっているものが多いことに気がつく。
図5のメインビジュアルでは「標準では耐震だけで、制震と免震の2つはオプションですよ」という話が書いてあるが、「え!それだけで終わり?」という感じを受けた。まさかと思って「耐震技術」とあるボタンのようなアイコン(図5の青枠で囲んだ部分)を試しにクリックしてみると、図6のようにメインビジュアル部分だけまた新しいコンテンツに変わるというユニークなインターフェイスだったことが確認できた。
そして少々不思議に感じていた、テトリスの凸ブロックのような右上のアイコン(図6の赤枠で囲んだ部分)の意味も理解できるようになった。メインビジュアルでは、実際は隠れた3画面を含めて、4画面で耐震・制震・免震の3つのことを説明しようとしているのだということだ。
これは言葉で説明するのが難しいので、実際に「耐震・制震・免震」ページにアクセスして、動作を試してみていただきたい。
図6の青枠で囲んだ部分のリンクを押すと、この右側に隠れている「免震」のページが表示され、反対の左側の図6の緑枠で囲んだ部分のリンクを押すと、左側に隠されている「制震」のページに移動するというわけだ。そして、凸状のアイコン(図6の赤枠で囲んだ部分)の4つの四角をクリックすると、それぞれ該当するページへ直接移動することもできるということだ。
ただ図6の赤枠で囲んだ部分の「TOPへ戻る」は意味合いが少し異なる。これは、「耐震・制震・免震」のトップページに戻り、図4の状態に戻すということを意味している。しかし、このユニークなインターフェイスは、さっと見にきたユーザーにきちんと理解してもらえるだろうか、少々心配だ。根気強くやってみないと理解できないだろう。
ひととおり3つの地震対策システムの説明を読んだあと、図5(「耐震・制震・免震」ページの2つ目のメインビジュアル)の画面に戻って、[耐震・制震・免震の違い]というボタン(図5の緑枠で囲んだ部分)もクリックしてみた。図7の画面がポップアップ的に表示される。
予想されたとおりだが、免震の効果が一番高いけど、やはり高くなりそうだなあ、などと想像が膨らんだ。注文住宅の見積もりは簡単とは思えないので、一番すぐれている免震のオプションはどのくらいのお値段アップになるかなどは、この時点で聞くことは難しいのだろうと思ってスルーする。
さて、今回はここまでにしておこう。次回は住宅展示場の場所を調べて、来場予約までを行ってみたい。
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- 記事種別:解説/ノウハウ
- 内容カテゴリ:アクセス解析
- コーナー:有名サイト、かってに解析!
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:もしも、「ダイワハウス」を解析するなら(前半)[第54回] [有名サイト、かってに解析!] | Web担当者Forum
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