Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
今回も引き続き、Googleアナリティクスの導入に際しての設定を解説していく。第2回で新規に作成した「プロファイルA」を例にしながら、「URLクエリパラメータ」を除外するかしないか、除外する場合の設定手順を解説する。
「URL クエリパラメータを除外」の設定画面を開く
まずは、第2回2ページ目の操作手順に従って、「プロファイルA」を開こう。
そして、「プロファイルA」の「プロファイル設定」タブをクリックして開いたのが、プロファイルAの情報編集画面だ(図1)。前回設定した「デフォルトページ」の入力欄の下に、「URL クエリパラメータを除外」(図1赤枠部分)という項目がある。
項目名の横に「オプション」と記述があるように、「URLクエリパラメータを除外」という項目は、必要があれば指定すればいい(必要がなければ設定しなくてもいい)ものだ。この設定を解説する前に、URLクエリパラメータとは何なのか、簡単に解説しておこう。
クエリパラメータとは何か?
「クエリパラメータ」というのは、さまざまな情報をWebサーバーに伝えるためにURLに付け加える情報だ。
たとえば、筆者の運営する「GAフォーラム」のサイト内検索でたとえば「gaiq」を検索すると、サイト内検索結果ページのURLは次のようになる。
この場合、「?s=gaiq」がクエリパラメータだ。
もっと技術的に表現すると、「?」が「ここからクエリパラメータ」を示し、「s」という名前のパラメータ(変数)の値として「gaiq」を指定していることになる。
つまり、「?」+「変数名」+「=」+「変数の値」というのが、クエリパラメータの基本構造になっている。
パラメータは1つとは限らない。パラメータが複数ある場合は「&」でつないでいく。
例で示したGAフォーラムのサイト内検索では、クエリパラメータで指定された内容(つまり検索条件)に応じて表示するページ(検索結果)の内容を動的に生成している。
Googleなどの検索エンジンや、Webサイトのサイト内検索でも、基本的にはこれと同じしくみを使っている。
このように、通常Webサイトで検索をおこなう場合は、動的ページ(.cgiや.phpなど)のURLの末尾にクエリパラメータを指定するという形式をとっている。これを「URLクエリパラメータ」という。基本的に、クエリパラメータは、動的ページURL末尾につけられている場合にのみ意味を持ち、そのパラメータと値に対応したWebページを動的に生成するというわけだ。
そもそも「クエリ」というのは、検索をおこなう際の検索条件のことだ。
一般に、データベースや表で何らかの検索をおこなう場合は、「検索対象となる項目」と「検索キーワード」を指定する必要がある。
たとえば、Excelで作った社員名簿という表があると想像してほしい。社員の中から「鈴木」という「名字」の社員を検索したい場合は、「検索対象となる項目」に「名字」を指定し、「検索キーワード」に「鈴木」という文字列を指定する。この場合は、「名字=鈴木」というのがクエリということになる。
この「名字=鈴木」という検索をおこなう際の「名字」にあたるものことを「パラメータ(変数)」といい、一方、「鈴木」にあたる文字列のことを「パラメータ(変数)の値」という。
ダミーパラメータというパラメータもある
クエリパラメータの解説で例に挙げたのは動的生成ページだったが、静的なページ(.htmlや.htm)のURLの最後に「?」の付いた文字列(クエリパラメータ)をつけることもできる。
ただし、この場合は「?」から後の文字列はすべて無視されるという性質がある。
たとえば、前出のGAフォーラムのサイトを例とすると、サイトのトップページにアクセスするのに、通常は次のURLを使う。
しかし、次のURLでもトップページにアクセスできる。
「mm」というパラメータ(変数)は、「GAフォーラム」では動的なページ生成用のパラメータに利用されていない変数なので、「?」以降の文字列が無視され、その前のURLである「http://gaforum.jp/」、つまりトップページが表示されるのだ。
これがいわゆる「ダミーパラメータ」と呼ばれるもので、Googleアナリティクスに限らず各種アクセス解析ツールや広告効果測定ツールで利用される仕組みだ。
ページの表示には影響はないのでどんなダミーパラメータを付けてもユーザーには同じ内容が表示されるが、アクセス解析ツールにはそれぞれ別のURLとして記録されるというものだ。
「パラメータ」という名前がついているが、この文字列は無視されるものなので、通常のパラメータの記述法則である「?」+「変数名」+「=」+「変数の値」といった形式になっていなくても大丈夫だ。つまり、次のようにしても問題ない。
ただし、いろいろな形式のパラメータが混在していると管理が煩雑になるので、同じ形式にしておくのがよいだろう。
Googleアナリティクスでも使われているダミーパラメータ
Googleアナリティクスでは、さまざまな計測をするためにどのようなダミーパラメータを使うかを定めている。
などといった形式で、複数の変数を「&」でつなげて使うように定められているのだ。
詳しくは別項で解説するが、さまざまな広告からのランディングページのURLにこの広告トラッキング用のダミーパラメータを付与して、どの広告をクリックしての来訪が何回ぐらいあって、その人たちがその後サイトでどのように行動しているかを分析できるようにするために使う。
なぜこのようなことをするのかと言えば、どこから来たかを把握するための「参照元」のデータをより詳細に取るためだ。
というのも、アクセス解析で収集対象となっている「参照元」のデータの精度は高くない。ブラウザの設定によっては、参照元情報を送らないようにすることもできる。
たとえば、「参照元」に何の手も加えていなければ、ブックマークから来訪しても、あるいはメルマガのリンクをクリックして来訪しても、どちらも「参照元」は「参照元なし」となってしまい、メルマガのリンクから来たことが識別できない。しかし、メルマガに記載するリンクに、メルマガから来たことを識別できるようなダミーパラメータを適切に仕込んでおけば、どのメルマガのどのリンクからの訪問なのかを判別できるようになるというわけだ。
- クエリパラメータの除外は、どう設定すればいいのか?
- 1. Google アナリティクスの広告トラッキング用のダミーパラメータ
- 2. セッションIDやビジターIDなどの管理のためのパラメータ
- 3. 商品IDなどに使用する意味のあるパラメータ
- 4. Google アナリティクスの広告トラッキング用以外のダミーパラメータ
URLクエリパラメータの除外は、どう設定すればいいのか?
サイトの訪問者をそれぞれ区別するために、サーバーが訪問者ごとに自動的に発行するID番号のこと。
ログインのために使うユーザーIDなどとは異なるもので、たとえば、
「2d23418fc1497e41860 5ad72d2eaf5ec」
のような、意味のない文字列になっている場合が多い。
ユーザーが自分で設定するものではなく、URLにクエリパラメータとしてセッションIDを自動的にサーバーが追加したり、セッションIDの情報をサーバーがクッキーに保存したりして使われる。
ダミーパラメータは、参照元の判別だけでなく、セッションIDの管理や、単に動的ページ生成のためなど、さまざまな用途で多くの種類が利用されている。
しかし、アクセス解析を行う際、すべてのパラメータやダミーパラメータをそのまま残した基本的な設定のままだと、パラメータの値が異なるページは、すべて別個のページとして扱われてしまうことになる。
端的な例を挙げると、1000人の来訪者が同じページに来訪していても、セッションIDが全員異なれば、解析データ上では、1000人がすべて異なるページに来訪したことになる。そうすると、このページのページビュー数は、本当は1000PVであるはずが、1PVのページが1000ページあるということになり、正しくカウントされないことになってしまう。そのような事態を避け、できるだけ解析側の目的に沿ったデータ取得を行うために、集計上ノイズになるダミーパラメータはあらかじめ除外をしておこう、というのがそもそもの意図である。
では、具体的にこの「URLクエリパラメータの除外」という設定項目はどういう場合に利用するべきかを解説していこう。ダミーも含めたクエリパラメータにはいくつかのパターンが考えられるので、それぞれについて解説していく。
1. Google アナリティクスの広告トラッキング用のダミーパラメータ
Googleアナリティクスでは、広告トラッキング用に使えるダミーパラメータを設定できる(後日、別項で詳しく解説する)。
これに関しては、自動的にレポートに表示されるURLからは削除され、トラッキング系の参照元情報としてレポートに自動的に取り込まれるので、除外パラメータに指定する必要はない。
2. セッションIDやビジターIDなどの管理のためのパラメータ
Webサイトで、セッション管理などのためだけに利用しているパラメータの場合は、閲覧コンテンツに違いはなく、別々のURLとして判別する必要性は低いと思われる。このようなパラメータは「URLクエリパラメータの除外」の項目に記述して、集計の際には除外されるようにしておこう。
記述のしかたは、たとえば、sessionIdという変数とvisitorIdという変数を除外したければ、例示(図1赤枠部分)にもあるとおり、右の入力欄にそれぞれを「,(半角カンマ)」で区切って、「sessionId,visitorId」と記述すればいい。
3. 商品IDなどに使用する意味のあるパラメータ
商品ごとのページのURLに付与された商品IDを表すパラメータなどの場合、もし異なるパラメータが付与された各ページを1つ1つ区別したい場合は、除外パラメータに指定するべきではない。
ただし、個別商品ページごとのデータまでは必要がないにもかかわらず、商品点数が膨大で、URLパターンがあまりにも多くなりすぎて、解析に支障が出る場合は、商品IDパラメータを除外パラメータとして記述してもよいだろう。
たとえば、「ビックカメラ.com」では、下記のように商品カテゴリや個々の商品の詳細情報ページを識別するためのパラメータがURLの最後に付く形になっている。
(特定商品カテゴリ)
(特定商品詳細)
しかし、集計の際にそこまでチェックしない(区別すると膨大すぎて手に負えない)という場合は、「DISP_CATEGORY_ID」や「JAN_CODE」を除外するというのはありだろう。
ただし、データからはこのパラメータがすべて削除されることになるので、実際は別のページを見ていても、同じページとしてカウントされるような集計になるということを理解しておこう。
4. Google アナリティクスの広告トラッキング用以外のダミーパラメータ
これに関しては、パラメータを設定した人が、何らかの意図を持ってパラメータを付与したものと思うので、基本は除外しない方がいいだろう。
それで、もしレポートを一定の期間見てみた上で、区別がつかなくてもよい場合に限り、そのパラメータを除外するようにしよう。
たとえば、図2のようなページビュー数の出力画面では、青枠部分は動的ページで意味のあるパラメータなので、そのまま生かすために、この「title」を除外パラメータに指定していない。また赤枠部分の「mm」についても、メルマガからの流入を区別するためのパラメータでありこのまま区別して見たいので、除外パラメータに指定していない。
「URLクエリパラメータの除外」に関しては、以上である。
- 「通貨の表示」の指定
- 「eコマースの設定」の指定タ
- 「サイト内検索の設定」の指定
「通貨の表示」の指定
次に、「URLクエリパラメータの除外」の下にある設定項目についても説明しておこう。まずは「通貨の表示」だ。通常、普通の日本のサイトであれば、プルダウンから「日本円(JPY ¥)」を選択すればよい(図3)。
「eコマースの設定」の指定
さらにその下にある「eコマースの設定」はeコマースサイトの場合に使う設定だ。
しかし、eコマースサイトだから有効にしなくてはいけないというわけではない。この設定を有効にして意味があるデータを取得するためには、eコマーストラッキングコードを使ってデータを別途取得する必要がある。
そうしたトラッキングコードを使っているのならば、ここを有効にしておけば、解析に有効なデータが取得できるが、そうでなければ図4(赤枠部分)のように「eコマース サイトではありません」を選択しておけばよい。
ちなみに、eコマースサイトでなくても、図5(赤枠部分)のように「はい、eコマース サイトです」を選択しておいても、おそらく解析上は何の弊害もない。
「サイト内検索の設定」の指定
サイト内検索のトラッキング
サイト内検索機能がある場合に、そのレポートを有効にするための項目だ。計測サイト内でサイト内検索の機能を実装している場合には、「サイト内検索レポートを有効にする」(図5青枠部分)としておこう。これを有効にすると、「サイト内検索のトラッキング」(図5緑枠部分)と「サイト内検索のカテゴリ」(図5黒枠部分)という2つの設定項目が表示される。
クエリパラメータ
すぐ下の「クエリパラメータ」という入力欄には、サイト内検索で使っているパラメータを記述する。例えば「GAフォーラム」では、サイト内検索用のパラメータとして「s」を使用している。パラメータが何かを調べるのは簡単だ。実際に検索をしてみればいい。「GAフォーラム」のサイト内検索で、「gaiq」という文字列を検索ボックスに入力して検索すると、検索結果のページのURLはhttp://gaforum.jp/?s=gaiq となる。この場合、「s」がパラメータだ。図5緑枠上部の「クエリ パラメータ」には「s」と入力する。
その下の「URLからクエリ パラメータを削除」は、プロファイル全体の指定のところで解説したのと意味は同じだ。上記、
の例で、「クエリパラメータ」に「s」を指定し、ここをチェックしてしまうと、このURLは
と変換されてしまうことになる。つまり検索結果のページなのに、トップページを見たことにされてしまう。そのためチェックをしてはいけない。
一方、検索結果のページのURLが下記のようなパターンであればどうだろう。
「kw」を「クエリパラメータ」に指定して、「URLからクエリパラメータを削除」にチェックをしたとする。この場合はクエリパラメータを削除した
に変換され、「検索結果ページ全体」としてまとめられることになる。これで問題ないのであれば、「URLからクエリ パラメータを削除」にチェックしよう。
このようにチェックをした場合の影響を考えて指定する必要があるので気を付けて対 処しよう。
サイト内検索のカテゴリ
その下の「サイト内検索のカテゴリ」の部分も同様に、検索した時に、カテゴリなど他の分類のためのパラメータが付けられるような場合は、そのパラメータを指定することで、別の分類軸でも見ることができるようになるということだ。カテゴリ用にパラメータを用意してあって、そのパラメータを解析の際にも参照したい場合には、このチェックボックスをONにして、パラメータを記述しておこう。
なお「クエリ パラメータ」も「カテゴリ パラメータ」も最大5つまで指定することが可能で、複数指定する場合は、カンマで区切って列挙すればよい。
◇◇◇
最後に筆者からの告知があります。
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オリジナル記事:「URLクエリパラメータ」とは何か、 どのような場合に「除外」するべきなのか?[第4回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
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