誰もが知っている有名サイトをエキスパートレビューしながら、「もし、アクセス解析するなら」どのポイントに着目するかを第三者的な視点から解説。アクセス解析を用いてサイトの改善を行うための仮説構築力を身につけて、自社サイト、クライアントサイトをアクセス解析する際に役立ててほしい。
毎週・木曜9時は「かってに解析!」。誰もが知っている有名サイトをかってに取り上げ、「もしもアクセス解析をするならば、どこに目をつけるか?」という視点で、サイトの問題点やチェックポイントにあたりをつける方法を解説していく。
前々回、前回と、2回にわたって、「ニッポンレンタカー」を取り上げた。
しかし、これからレンタカーを借りようと考えている場合、ほとんどの人は、どこの会社で借りるか、あらかじめ決めてはいないだろう。おそらく、いくつかの会社やサイトを見て、料金や条件を比較するという手順を踏むはずだ。
そのようなときに、まず使われるのが比較サイトだ。ということで、今回は、レンタカー会社を比較・検討する比較サイトである「楽天トラベル」の「レンタカー予約」を取り上げる。「かってに解析!」も、50回目にして、いよいよインターネット本業のサイトをピックアップすることになる。
今回はレンタカー関連のサイトを対象にして、課題の抽出や考察を行うのだが、筆者はカーリース業界の各企業やWebサイトが直面している課題や戦略・戦術を十分に理解しているわけではない。あくまでもどのような点に着目したらよいのかを重視して読んでいってほしい。
「楽天トラベル」の閲覧シチュエーションを想定
今回のサイト利用シナリオは、前回の「ニッポンレンタカー」と同じで「レンタカーを借りる」というものだが、今回は比較サイトであるため、「レンタカーを借りる」という目的の前段階として、「各社の価格などを比較検討の上、会社を選択する」という目的が加わる。
誰が | 所用で週末にレンタカーを利用予定の人 |
---|---|
何の目的で | レンタカーを借りる |
具体的には | オンラインで比較サイトを利用し、レンタカーの予約までおこなう |
もちろん、前回の「ニッポンレンタカー」と対比できる部分があれば、それも見ていきたい。
「楽天トラベル」をエキスパートレビュー!
「レンタカー」と検索すると「楽天トラベル」は何位?
まず「レンタカー」と検索すると、「Yahoo! JAPAN」と「Google」のいずれにおいても、「楽天トラベル」は自然検索の上位には表示されておらず、画面右側の検索連動広告枠の上位に表示されていた(図1、図2の赤枠で囲んだ部分)。
それぞれ「楽天トラベルのレンタカー予約」「レンタカー予約なら楽天トラベル」というタイトルだ。広告をクリックしてみると、リンク先はどちらも共通で「楽天トラベル」の「レンタカー予約」カテゴリのトップページだった。
- 「楽天トラベル」のトップページはどんな感じ?
「楽天トラベル」をエキスパートレビュー!(続き)
「楽天トラベル」のトップページはこんな感じ
検索連動広告をクリックして、ジャンプしてきたのが、「楽天トラベル」の「レンタカー予約」カテゴリのトップページだ(図3)。
トップページの下方には、SEO対策と思われる膨大な関連リンクがちりばめられている。「特集・キャンペーンからレンタカーを探す」「レンタカー会社からさがす」「エリアからレンタカーを探す」「空港出発のレンタカー」「駅出発のレンタカー」などといった各種カテゴリーへのリンクだ。あとは両サイドと一番下に各種のバナーが存在している。
「楽天トラベル」には7つのカテゴリー
そもそも「楽天トラベル」はレンタカーではなく旅行全般に関するサイトであり、ファーストビューの最上部には、「楽天トラベル」のコンテンツを7つに分類したタブがある。
国内 | 海外 | 懸賞広場 | 割引クーポン | グループ予約 | 観光案内 | 楽天カード |
そして、タブの2段目には、「国内」カテゴリーのサブメニューが、横1列に並んで表示されている(図3の赤枠で囲んだ部分)。
国内宿泊・日帰り (高級、ビジネスホテル、温泉、日帰り) |
楽パック (交通+宿) |
高速バス | レンタカー | 国内航空券 |
「レンタカー」は、サブメニューの右から2番目にある。
ふつうこういうデザインであれば、それぞれのタブをクリックすると、カテゴリーごとのサブメニューが表示されるものだ。しかし、「楽天トラベル」の場合、どのタブをクリックしてもサブメニューは変化せず、つねに「国内」カテゴリーのサブメニューが表示されるようになっている。別のタブをクリックしてもサブメニュー表示が変わらないので、ちょっとビックリする。
レンタカーの検索機能が非常にコンパクト
そしてファーストビューの中央には「レンタカーを日程から探す」の機能が大きくフィーチャーされている(図3の青枠で囲んだ部分)。この機能は、
- 貸出日/貸出場所
- 返却日/返却場所
- 利用可能なオプション(任意選択)
を選択させてから検索させるというもので、非常にコンパクトにまとめられている。
「ニッポンレンタカー」の予約機能と比較してみると
「ニッポンレンタカー」は、図4のように、カレンダーや都道府県名の表示のために多くのスペースを割いていた。これに比べると、「楽天トラベル」の方は、省スペースになっているのが特徴だ。
- 検索機能を使ってレンタカーを探してみよう
「楽天トラベル」をエキスパートレビュー!(続き)
検索機能を使ってレンタカーを探してみよう
さっそくメインの検索機能を使ってみよう。前回と同様なシナリオで、貸出日時は1月28日(土曜日)の朝8時で、返却日時は翌日29日(日曜日)の夜10時、貸出場所も返却場所も最寄りの営業所としてみよう。
- 貸出日時:1月28日(土曜日)の朝8時
- 返却日時:1月29日(日曜日)の夜10時
- 貸出/返却場所:最寄りの営業所
貸出日を指定する
一番上の「貸出日」の指定はカレンダーからでもプルダウンからでも指定可能だ(下の図5の赤枠で囲んだ部分)。「ニッポンレンタカー」ではカレンダーを標準でまるまる表示していたため、画面の多くを占有していた(図4左上)。いっぽう「楽天トラベル」ではコンパクトに見えるし、必要に応じて使えるようにしてあるが冗長性を省いているという点で優れている。
「年」の指定は「楽天トラベル」では「2013年」という選択肢があるが、「ニッポンレンタカー」では「年」の指定はなかった。「ニッポンレンタカー」の場合は、4カ月先くらいまでしか指定できないので、そういう制約の中では確かに年の指定は必要がないかもしれない。
また「時間」の選択は「楽天トラベル」が、「時間」と「分」の2つのプルダウンを使っているのに対して、「ニッポンレンタカー」は24時間表記からの選択をさせる形式だった。なおどちらも30分間隔での指定なのは同じだった。
貸出場所を指定する
「貸出場所」で「空港店検索」のラジオボタンをオンにすると、前出図5の青枠で囲んだ部分のように、空港を選択するプルダウンは、上方に羽田空港、成田空港から那覇空港まで、よく利用される空港が並んだあとは、北に位置する空港(丘珠空港)から並んでいるということがすぐ理解できる。
「貸出場所」のデフォルトで選択されている「エリアから検索」の方は、デフォルトでプルダウンの選択肢の一番上の「北海道」が表示されているが、このプルダウンも図6の赤枠で囲んだ部分のように、まず定番エリアの表示が上にあり、その下に北から順番に都道府県名が並んでいて選択がしやすい。
- 貸出場所をエリアから検索する
「楽天トラベル」をエキスパートレビュー!(続き)
貸出場所をエリアから検索する
今回は、「エリアから検索」を使うことにする。筆者の居住地区「神奈川県」を選択し(図7の赤枠で囲んだ部分)、その下の「地区を選択してください(必須)」のプルダウンを表示させると、図7の青枠で囲んだ部分のように表示される。
神奈川県の場合は7エリアから選択させる表示だった。「川崎市内」を選択し、次へ進む。
返却日と返却場所を指定する
「返却日」を指定し(図8の赤枠で囲んだ部分)、「返却場所」はデフォルトの「貸出店舗に返す」が選択されたままにしておく(図8の青枠で囲んだ部分)。
「貸出場所」と「返却場所」に関しては、「楽天トラベル」の選択肢は多くはない。「ニッポンレンタカー」の選択方法は何種類もあるが(図9)、多いと逆に選択しにくいということもありそうで、このあたりは人によって好き嫌いがありそうだ。
- 利用可能なオプションを選択して、検索してみた
「楽天トラベル」をエキスパートレビュー!(続き)
利用可能なオプションを選択する
「楽天トラベル」の「利用可能なオプション」については、「禁煙車」「カーナビ」にチェックをしてみる(前ページ図8の緑枠で囲んだ部分)。右下にある「車両タイプ」をクリックすると、図10のように「ボディタイプ」と「AT/MT」(オートマ車かマニュアル車か)の選択をする表示が追加される。
多くの場合は「乗用車」で「AT(オートマティック車)」だから、このオプションは最初から見せないように工夫がされているということだろう。
それではこの機能の下方にある[検索]ボタンをクリックして進んでみよう。
検索ボタンをクリックすると、たくさんの候補店が表示された
「レンタカーを日程から探す」で[検索]ボタンをクリックすると、図11のように、上から「現在の表示条件」「条件を変える」「表示タイプ」「候補店と車種選択画面」が縦長に表示された。比較サイトなので当たり前だが、非常に多くの候補店が表示されている。かなり長い画面なので、ざっと眺めていただくだけでけっこうだ。
選んだエリアにある日産レンタカー、トヨタレンタカー、ニッポンレンタカーの店舗がそれぞれ複数ピックアップされているのが分かる。
今回はここまでとしよう。次回は、この検索結果画面を見て、実際に比較検討してみたい。
さて、この連載では、
- Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
- 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論
などを随時募集している。希望者は、(web-tan@impressrd.jp)までお寄せいただきたい。
- 記事種別:解説/ノウハウ
- 内容カテゴリ:アクセス解析
- コーナー:有名サイト、かってに解析!
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:もしも、「楽天トラベル」を解析するなら(前半)[第50回] [有名サイト、かってに解析!] | Web担当者Forum
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