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「海外SEO情報ブログ」の鈴木 謙一氏が、
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さらっとまとめて毎週金曜日にお届けします。
検索順位ごとのクリック率データ最新版(PDF)
★★★★☆ オーガニック:PPCのCTRの割合は8:2 (SEO in Philadelphia)
検索結果の順位によるクリックのデータは調査方法によって開きがある。検索順位ごとのクリック率のデータ3種類をこのコーナーで比較したこともある。今回はSEO in Philadelphiaが調査したクリック率のデータを紹介する。自然検索と検索連動型広告それぞれの順位ごとのクリック率(クリック数÷インプレッション数)を調べたデータだ(SEOmozのランド・フィッシュキン氏のツイートでその存在を筆者は知った)。
自然検索の対象となったのは、13,366,930インプレッション/564,324クリック/2,069キーワード。検索連動広告の対象となったのは、304,816,212インプレッション/5,253,187クリック/10,983キーワードだ。ブランドキーワードは除外している。ウェブ検索が対象で、プレイス検索やYouTube、ショッピング検索などの結果は含まれていない。以下のようなクリック率の分布になる。
順位 |
自然検索 のクリック率 |
検索連動広告 のクリック率 |
1位 |
15.08% |
4.54% |
2位 |
10.26% |
1.79% |
3位 |
7.32% |
1.51% |
4位 |
4.94% |
1.17% |
5位 |
4.95% |
0.93% |
6位 |
2.21% |
0.77% |
7位 |
2.04% |
0.68% |
8位 |
2.39% |
0.54% |
9位 |
1.45% |
0.51% |
10位 |
1.84% |
0.57% |
各順位のインプレッション数を10万回にそろえて算出したデータも示されている。こちらでは、自然検索の10位までの全体のクリック率は52.5%、いっぽう検索連動広告の10位までの全体のクリック率は13%で、両方を合わせたクリック率は約65.6%になると予測される。比率で見ると、そのうち自然検索が約80%、検索連動広告が約20%になる。
つまり、検索結果をクリックするユーザーの8割は自然検索をクリックし、2割は検索連動広告をクリックする。残りの約34.4%は、何もクリックしないか(次のページを探すか)、プレイス検索やYouTubeなど他のコンテンツをクリックすることになる。
あくまでも、ある条件での調査に基づく数値(しかも英語圏)なので、そのまま鵜呑みにはできないが、かなり参考になるだろう。
日本語で読めるSEO/SEM情報
2012年のSEOの展望 9項目
★★★★☆ 注目はSEOツールとリンクスパム対策 (トゥギャッター)
渡辺隆広氏が1月4日に2012年のSEOの展望をツイートで予想した。全部で9つ挙げていて、注目しているのは「SEO系のソフトウェア」とのことだ。また「いたちごっこが続いているリンクスパム系のところは、いい加減Googleが本気出してくる」と予想している。
全ツイートをトゥギャッターに筆者がまとめたので読んでいただきたい。
なおツイートは「2011年展望」と始まっているが「2012年展望」の間違いである。
コンテンツを足し続けたことによってアクセスを伸ばすことに成功した事例を紹介した記事。
開設当初は思ったほどアクセスが伸びず、途中にはペナルティにも思えるアクセス激減の期間があったが、それでもめげずに1年半こつこつと記事を書き続け、現在は検索エンジンからのアクセスが1日700に到達するくらいにまで伸びている。検索キーワードの大半はロングテールキーワードである。
1年以上更新し続けてきたと聞くと長い道のりに思えるかもしれない。しかし2011年があっという間に終わり2012年になったと感じてはいないだろうか。2012年の1月も明日で2週間が終わる。
楽して簡単に順位が上がる小手先テクニックに頼ったSEOは存在しないし、仮にスパム的な手法でうまくいったとしてもほぼ確実に短命に終わる。新年を迎えたこのタイミングに方針を定め、今年こそは有益なコンテンツ作りに励もう。そして2013年を満足感ととともに迎えよう。
Bing日本版の公式ツイッターアカウントが、ウェブマスター向けのTIPSコンテンツをツイートで紹介した。
コンテンツ自体は以前から存在していて新たに公開されたのではないかもしれないがせっかくの機会なので目を通すといいだろう。全5回のシリーズである。
- あなたのサイトのランキングに不満はありませんか? パート1
- あなたのサイトのランキングに不満はありませんか? パート2
- あなたのサイトのランキングに不満はありませんか? パート3
- あなたのサイトのランキングに不満はありませんか? パート4
- あなたのサイトのランキングに不満はありませんか? パート5
翻訳的で多少読みづらさがある文章だが、Bingに固有のものはほとんどなく検索エンジン全般に通用するコンテンツになっているので安心してほしい。
無料で配布されているテンプレートやブログパーツ、ツールなどは、経費を削減したいウェブ担当者にとっては嬉しいものだ。しかし無料であることには何か理由があることが常で、なかには高い代償を払わなければならない場合もある。
その代償とは、検索エンジンのガイドラインに違反するスパム行為を気付かぬところで犯してしまう可能性があるということだ。
たとえばWordPressのプラグインにクローキングのコードが仕込まれていてインデックス削除された事件が過去に2件ほどグーグルの公式フォーラムで報告されている。
無料配布にはどんな危険性がありえるのか、こちらの記事で認識してほしい。
ちなみに、適切に管理されていないサーバーから配信されるブログパーツをJavaScriptで利用している場合、セキュリティの問題が発生する可能性もあることは知っておいてほしい。最悪の場合、サイトを訪問してくれた人がウイルス感染してしまう場合もあるし、そうなれば「危険なサイト」として検索結果でブロックされてしまうだろう。
ナチュラルリンクが張られる4つの理由
★★★☆☆ 理由を知れば狙えるかも (SEO is DEAD!! WEB in the morning)
自発的に張られた自然なリンクを検索エンジンは評価する。ではなぜ人はリンクを張ろうとするのだろうか? リンクを張る理由がわかれば自然なリンクを集めるようなコンテンツを効果的に作れるかもしれない。
久しぶりに更新したWeb in the morningブログが、人が自発的にリンクを張るときの動機には4つのパターンがあるとして分類している。
- 参考・引用元として張る「参考リンク」
- 人・サイトに張る「人格リンク」
- 自分のコンテンツの補強のために張る「サポートリンク」
- 報酬を得るための「報酬リンク」
もちろん、ここで示された以外にも分類はあるだろうが、1つの考え方として参考にしてみるといいだろう。
海外のSEO/SEM情報を日本語でピックアップ
・繰り返し出現する定型文をグーグルは適切に扱える
・最新のグーグル向け内部リンク施策
・グーグルはiframe内のリンクをたどることが判明!?
・世界中のSEOコンサルタントの料金形態を調べてみた
SEO Japanの掲載記事からピックアップ
・これだけ理解しておけば良い2012年のSEOに関する5つの真実
・Google、自社サイトに有料リンクペナルティを与えるの巻
海外のSEO/SEM情報を日本語でピックアップ
繰り返し出現する定型文をグーグルは適切に扱える
★★★★☆ これは助かる (Google Webmaster Central Help Forum)
グーグルのジョン・ミューラー氏が米国版の公式ヘルプフォーラムで次のようにコメントしている。
免責事項のようにすべてのページに同じ文章が繰り返し掲載されていたとしても、グーグルは適切に扱うことができネガティブな影響は与えない。
テンプレートの一部として組み込まれ全ページに出現する定型文的なコンテンツ部分を「ボイラープレート」と呼ぶことがある。サイドバーやフッターもボイラープレートの一部だ。オリジナルコンテンツに対してボイラープレートのコンテンツが多すぎると、類似しているページだとして重複コンテンツ扱いされる危険がある。また、書かれているテキストによってはキーワードの乱用として受け取られてしまうかもしれない。
しかし今のグーグルは多くのページに出現するボイラープレートをきちんと認識してくれるようだ。
各ページに共通した支払い・配送説明を載せているネットショップがある。重複コンテンツ扱いされないように1枚の画像にして貼り付けるといいと筆者はアドバイスすることがある。ミューラー氏によれば、この手法は“あり”だが、普通はそこまでする必要はないだろうとのことだ。
最新のグーグル向け内部リンク施策
★★★★☆ ユーザーを第一に考えれば評価も上がる (WebmasterWorld)
グーグルのPageRankは、「ランダムサーファー・モデル(Random Surfer Model)」という理論に基づいている。ユーザーがページに存在するどのリンクをクリックするかはランダムであり、そのためPageRankはリンク先ページへ均等に渡される。しかしこれはオリジナルのPageRankの仕組みであって、その後出願した特許では、リンクの出現場所やアンカーテキスト、フォントの大きさや色、リンク先ページのURLなどさまざまな要因に基づいて受け渡すPageRankに差を付ける仕組みを著している。ランダムサーファー・モデルに対して「リーズナブルサーファー・モデル(Reasonable Surfer Model)」という通称でこの理論を呼ぶことがある。現在のPageRankは、少なくとも一部はリーズナブルサーファー・モデルに基づいているはずだとSEOのプロフェッショナルの間では考えられている。
これ以上の難しい話は控えるとして、リーズナブルサーファー・モデルでは、要はユーザーがクリックするリンクにより多くのPageRankが渡されると理解していいだろう。言い換えれば、ユーザーがクリックするだろうリンクの先にあるページがより高く評価されるということだ。誰もクリックしないようなページの下部にあるフッターのリンクよりもメインコンテンツの中に埋め込まれた参照先としてのリンクの方が高評価なのはそのためだと考えられる。
具体的な応用例として、こうした評価を前提とした内部リンク施策がある。内部リンクはSEOにおいて重要な要因である。内部リンクを張るときには、ユーザーにとってわかりやすく役に立つことを心がけてほしい。なぜならユーザーがクリックするということはそのリンクに対するグーグルの評価も上がる可能性が高いからだ。
内部施策だけでページビュー数を驚くほど伸ばすことに成功したpixivのSEO事例がWeb担で紹介されていたが、そこでも内部リンクに力を入れていた。ユーザーに対して価値のある関連ページへのリンクを増強していたことが紹介されている。
検索エンジンはiframe内のリンクをたどらないとされている。ところがiframeのリンクのアンカーテキストをグーグルが評価しているようだという実験結果がHigh Rankingsフォーラムに投稿された。
すでにインデックスされていてクロール頻度も高いと思われるがアクセスがほとんどなくユーザーの目に止まらないページ内に設置したiframeから、実験用のアンカーテキストで別のページへリンクを張った。するとそのアンカーテキストでの検索で対象ページが検索結果に出てきたのだ。iframe内のリンクがアンカーテキストの評価を渡した証拠になる。
たった1回の実験結果であるので真偽のほどはわからない。Search Engine Roundtableがこの実験結果を紹介したところ、そんなはずがないと読者からの反論がコメント欄に多数書きこまれている。単純に、iframe内に表示しているHTMLページが単体ページとしてクロールされ評価されたのではないかという考えもある。
ちなみに実験を行ったマイケル・マルチネスという人物はあちらこちらのブログやフォーラムでコメントを残すが、そのほとんどが否定的な意見ばかりで「変わり者」だという印象を筆者は持っているが、話題として取りあげてみた。
SEOmozのランド・フィッシュキン氏が、世界中のSEOコンサルタントやSEO代理店を対象に料金体系を調査するアンケートを行った。600以上の回答があり、そのうち10以上の回答があった国のデータを計490個まとめて公開した。データに含まれる国は、米国と英国、カナダ、オーストラリア/ニュージランド、ドイツ/フランス/イタリア/オランダ、インドである(「/」で区切った国は1まとめで集計)。
フィッシュキン氏は、この調査からわかった重要ポイントを個人的な視点から9つ紹介している。
※金額は1米ドル77円で換算
時間単位の金額は国によってまちまちだが、1時間あたり76~200ドル(5,800~14,000円)がもっとも多い
インドが例外だったものの50%以上が76~200ドルの範囲だった。
プロジェクト単位の課金が一般的で、もっとも多かったのは1,000~7,500ドル(77,000~577,000円)
70.1%がプロジェクト単位の課金システムを提供していた。
月額報酬がもっとも幅広い分布
時間単位・プロジェクト単位の報酬も範囲が広かったが月額報酬がもっとも幅広かった。いちばん多いのは、1月あたり251~500ドル(19,000~38,500円)で13.8%、次いで2,501~5,000ドル(193,000~385,000円)で11.3%だった。
実務までやるSEOは終わったというのはかなりの誇張
コンサルタントや代理店はSEOの実務作業までは援助しないと過去数年言われてきたが、そんなことはなく、88.5%はクライアントのサイトに直接変更を加えているし79.1%はリンク構築を手伝っている。
インバウンド・オーガニック > 純粋なSEO
純粋なSEOだけのコンサルタントや代理店は姿を消しつつあるようにも見え、SEOの他にソーシャルやコンテンツ、コンバージョン、解析なども援助するようになっているところが増えている。
ウェブデザイン・ホームページ作成会社が多くのSEOを行う
SEOサービスを手がける業種で3番目に多かったのがウェブデザインやホームページ作成会社だった。
コンサルタント1人あたり1か月に1~2クライアントを担当
所属するコンサルタント数と受け持つクライアントの数をクロス分析したところ、1人あたり1~2社の担当となった。
大多数のコンサルティングは中小企業が相手
回答者の41%が、小さな会社や街角の飲食店のような極めてローカルなビジネスを相手にしている。
プロジェクト単位の課金がもっとも一般的だが、大多数のコンサルタント企業は月額報酬と時間単位の課金も提供
いちばん多いのはプロジェクト単位の課金で70%が提供し、2番目に多いのが月額報酬で60%が提供し、3番目に多いのが時間単位の課金で55%が提供していた。
ウェブ担当者以外に、SEOサービスを提供する職に就いている人もこのコーナーの読者にはいることと思う。日本のデータは含まれていないし、SEOmozは専門の調査会社ではないので必ずしも信頼のおけるものはないが1つの参考データとして見てほしい。
SEO Japanの掲載記事からピックアップ
2012年に特に意識しておきたいSEOについての記事と、有料リンクを購入してしまったGoogle Chromeブラウザのサイトにグーグルが自らペナルティを与えた記事を今週はピックアップ。
鈴木 謙一(すずき けんいち)
フリーランスのインターネットコンサルタント。アメリカを中心としたSEO/SEMのコアな情報を日本に持ち込み、「海外SEO情報ブログ」で“海外SEO”のブランドを確立。サーチエンジンマーケティング専門ソーシャルニュースサイト、Sphinn(スピン)の公式日本版であるサービス「Sphinn Japan」立ち上げメンバーでもある。
現在は、株式会社セルフデザイン・ホールディングスのCTOとして、SEOの情報収集やトレーニング、海外のSEOカンファレンス参加などを通じて正しいSEOの普及に取り組んでいる。
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